リチウムイオン電池の米アンプリウスがSPAC上場へ

(米国)

サンフランシスコ発

2022年05月20日

リチウムイオン電池の開発・製造・販売を行う米国のアンプリウス・テクノロジーズ(本社:カリフォルニア州フリーモント)は5月12日、特別買収目的会社(SPAC、注)であるケンジントン・キャピタル・アクイジションIVと企業合併契約を締結し、ニューヨーク証券取引所に上場すると発表した。発表資料によると、両社は同合併企業の企業価値を9億3,900万ドルと見積もっている。同契約手続きが完了する2022年後半に上場の見通しだ。アンプリウスはこれまで、航空・防衛市場で事業を展開してきたが、ケンジントンとの合併を通じて、自動車産業への参入も進めていく意向だ。

アンプリウスは、スタンフォード大学のスピンオフ・スタートアップとして2008年に創業し、アノード(負極)材が100%シリコンのリチウムイオン電池を製造している。リチウムイオン電池のアノード材にはグラファイト(黒鉛)が用いられるのが一般的だが、同社によると、グラファイトはエネルギー密度の限界に達しており、シリコンは電池性能を向上させる新たな材料として期待されている。シリコンはグラファイトに比べて、最大で10倍のリチウムを蓄電できるが、充電時に膨張する性質を持ち、割れて機能しなくなることが課題だった。同社は、これらを解決するシリコン・ナノワイヤーによるアノード材を開発し、リチウムイオン電池の高エネルギー密度化と長寿命化を実現した。同社は、シリコンを使用した同社の電池とアノード材をグラファイトの従来型リチウムイオン電池の性能と比較した場合、例えばスマートウォッチでの通話は2時間半以上長く(顧客報告値)、電気自動車(EV)の走行距離は237マイル(約381キロメートル)長くなるとしている(テスラ・モデル3搭載電池と比較した推計値)。

(注)別名ブランク・チェック・カンパニー(白地小切手会社)。特定の事業を持たず、新規株式公開(IPO)を通して資金を調達し、未上場企業を買収・合併し、被買収企業を上場させる目的で設立される企業。

(田中三保子)

(米国)

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