中国ラオス鉄道の累計旅客数が1,600万人に

(中国、ラオス)

中国北アジア課

2023年06月08日

中国政府は5月24日、中国ラオス鉄道(注1)の2021年12月の開通から5月23日までの累計旅客数が1,600万人に達したと発表した。同鉄道は、中国国内の運転区間では1日平均42本が運行され、累計旅客数は1,353万人となった。ラオス国内の運転区間では1日平均6本が運行され、累計旅客数は247万人となった。

両国の国境を越える国際旅客列車は2023年4月13日から運行を開始した(2023年4月26日記事参照)。同鉄道を利用して中国~ラオス間を越境した旅客数は5月23日までに累計で2万人を超えた。ラオスとの国境に位置する中国側のモーハン(磨憨)出入国管理局鉄道業務班の白雪寒班長は同鉄道の利用状況について、「国際旅客列車の運行開始以来、全体的に中国から出国する旅客よりも、中国へ入国する旅客の方が多い。また、入国する外国人は旅行や留学、視察を目的としている場合が多い」と述べた(「中国工会網」5月14日)。

中国ラオス鉄道の貨物輸送量は開通から5月16日までに累計で2,000万トンを超えた。そのうち、国境を越えた貨物の輸送量は400万トンに及び、取引額は177億元(約3,540億円、1元=約20円)となった。現地メディアは、2022年12月にモーハン口岸(注2)に「出入境果物指定監督場」(注3)が開設され、果物の輸送能力が向上したことが中国ラオス鉄道の貨物量を拡大させたと報じている(「新華社」5月17日)。

中国外交部、「一帯一路」の縮図と位置づけ

中国ラオス鉄道を巡っては、ラオスが抱える多額の債務(2021年10月8日記事参照)などの課題があるとされているが、中国外交部の毛寧報道官は5月25日の定例記者会見で、同鉄道がラオスに与えた影響として次の3点を挙げた。

  1. 現地に雇用をもたらした。ラオスで約3,500人の雇用を生み出しただけでなく、物流、交通、貿易、旅行などの業界で約10万人の雇用を間接的に生み出した。
  2. 貿易を促進した。中国からラオス、タイへ輸出された貨物は326万トンに上り、多くのASEAN加盟国の貨物輸送に同鉄道が利用された。
  3. 環境保護を重視した。自然保護地域を迂回して鉄道の建設を行った。

これらを踏まえ、毛報道官は「中国ラオス鉄道は『一帯一路』の縮図だ。地域の国々が相互に接続されたことでもたらされるチャンスを継続的に共有し、共同発展を実現していく」と述べた。

(注1)2021年12月3日に開通。中国の雲南省昆明市とラオスの首都ビエンチャンを結ぶ約1,035キロの国際鉄道路線。

(注2)税関が2国間の国境などに設置した検問所。

(注3)輸入果物の検査プラットフォームや冷蔵倉庫、検疫処理などの機能を備えた検査施設。中国ラオス鉄道の農産物輸送については、2022年12月16日記事を参照

(廣田瑞生)

(中国、ラオス)

ビジネス短信 9477a3aa25d863ab