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米民間調査機関、ラオスの中国への隠れ債務をGDPの35%相当と指摘

(ラオス、中国)

ビエンチャン発

2021年10月08日

米国民間調査機関のエイドデータ研究所は9月29日、2000年以降に中国政府や中国の国営企業が実施した国際開発金融プロジェクトについて調査・分析した調査報告書を発表した。その中で、中国から融資を受けた相手国政府が公表していない「隠れ債務」について、ラオスはGDP比で35%相当(2017年GDP値)に達することが明らかになった。

「バンキング・オン・ザ・ベルト・アンド・ロード:中国の開発プロジェクト1万3,427件の新しいグローバルデータセットからの洞察」と題する同報告書において、2000年以降に中国政府や国営企業が実施した1万3,427件、計8,430億ドルの国際開発金融プロジェクトについて今回整理したデーターベース(グローバル中国国際開発金融データセット2.0)の分析を実施し、以下の5つの洞察結果を示した。

  1. 21世紀以降、中国は国際開発金融プログラムを驚異的に拡大しており、援助ではなく半譲歩的、非譲歩的債務(注1)を実施していること
  2. 一帯一路戦略(BRI)以降、中国の国有商業銀行を中心とするシンジケートローン(協調融資)や共同融資を組織し、大規模インフラプロジェクトを実施できるようになったこと
  3. 信用リスクの増大に伴い、資源国への外貨建て融資の中で、鉱物など将来の一次産品の輸出収入を担保にし、比較的高い金利設定をしていること
  4. BRI以降、融資の形が相手国政府へのソブリン債(注2)から、国有企業・銀行、特別目的会社、民間機関などへの貸付へとシフトしたこと。加えて、これらは受け入れ側政府の明示的もしくは暗黙的な保護を受け、公的債務と民間債務の区別が曖昧になっていること。結果として、これまで理解されていたものよりも大きな債務負担(隠れ債務)があること
  5. BRIインフラプロジェクトの35%が汚職や環境問題、市民の抗議活動などの問題に直面していること

特に、洞察結果の4に関し、低・中所得国では中国に対して3,850億ドル相当が隠れ債務となっていると指摘した。中でも、ラオスはGDP比で最も高く、中国からラオスへの隠れ債務はGDPの35%相当(2017年GDP値)に達すると指摘した。なお、ソブリン債蓄積はGDPの29%相当としている。例えば、中国ラオス鉄道事業は、官民パートナーシップ方式でラオス政府と中国国営企業が特別目的会社を設立して実施されており、中国輸出入銀行から35億4,000万ドルの融資を受けている。実際にはラオス政府はソブリン保証を行っていないが、潜在的に「大きすぎて、つぶせない」事業で、ラオス政府にとって偶発債務(注3)となる可能性があると指摘した。

なお、世界銀行は最新の報告書「エコノミックモニター」で、2020年のラオスの政府・政府保証債務総額は133億ドル、GDPの72%と分析している。

写真 建設中のラオス中国鉄道ビエンチャン駅ビル(ジェトロ撮影)

建設中のラオス中国鉄道ビエンチャン駅ビル(ジェトロ撮影)

(注1)非譲歩的債務とは、市場条件またはそれに近い条件で提供されるもの。一方、譲許的融資は、よりソフトな条件で提供される。

(注2)ソブリン債とは、政府や政府機関が発行または保証を行っている債券。

(注3)偶発債務とは、現実にはまだ発生していないが、一定の条件の下で将来、債務となる可能性のある潜在的な債務。

(山田健一郎)

(ラオス、中国)

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