中国ラオス鉄道、中国向け生鮮農産物の鉄道一貫輸送を開始

(ラオス)

ビエンチャン発

2022年12月16日

中国ラオス鉄道開通から1年を経て(2021年12月9日記事参照)、中国側の植物検疫体制が整ったことから、ラオス産やタイ産の生鮮農産物の中国ラオス鉄道による一貫輸送が開始された。

122日午前4時、中国の重慶を仕向け地として、ラオス産バナナ(40フィート・リーファーコンテナ5本)とタイ産リュウガン(40フィート・リーファーコンテナ20本)を積み込んだ貨物列車が、中国ラオス鉄道ビエンチャン南駅を出発。同日午前1050分にラオス側の国境駅であるボーテン駅に到着した。そこで輸出手続きを終え、123日午後にボーテン駅を出発し、同日午後8時に中国側の国境駅であるモーハン駅に到着した。翌124日には通関と今回新たに設置された検疫施設で植物検疫を行い、126日午前3時にモーハン駅を出発、8日午前10時に重慶に到着した(注)。

同様に、124日にタイ産リュウガン(40フィート・リーファーコンテナ25本)がビエンチャン南駅を出発し、8日に四川省成都に到着。127日にはラオス産バナナ(40フィート・リーファーコンテナ25本)がビエンチャン南駅を出発し、12日に湖南省長沙に到着した。

中国ラオス鉄道では、中国側の検疫体制の整備が遅れていたが、1130日にモーハン駅の検疫施設が中国税関庁による最終承認を受けたことから、開通から1年を経た123日より中国向けの検疫対象品目の鉄道一貫国際輸送が可能となった。これまでは、ラオス側のボーテン駅でトラックへ積み替えた後に、従来からある陸路国境で輸出入手続きをする必要があり、これに要する時間や費用が課題となっていた。また、中国の新型コロナウイルス対策による検疫措置の強化により、ボーテン陸路国境では、貨物輸送トラックの渋滞が発生、鉄道による一貫輸送の早期実現が望まれていた(2022年1月7日記事参照)。

なお、ラオスでは近年、バナナの栽培が盛んで、農林省統計によると、2021年は95万トン、25,000万ドル(前年比22%増)を輸出している。

写真 ビエンチャン南駅での農産物貨物の積み込みの様子(スピード・インターナショナルトランスポート・ラオ提供)

ビエンチャン南駅での農産物貨物の積み込みの様子(スピード・インターナショナルトランスポート・ラオ提供)

(注)ジェトロの輸送会社へのヒアリングによる。初回の輸送では、中国側での式典の開催や発電機にトラブルが発生したため、輸送日数が予定よりも要した。中国ラオス鉄道では、リーファーコンテナーの使用にはディーゼル発電機の使用が必要だ。

(山田健一郎)

(ラオス)

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