JERA、米国の火力発電で水素混焼に向けたガスタービン改造工事完了を発表

(米国、日本)

ヒューストン発

2023年06月08日

発電大手JERAは6月7日、米国ニュージャージー州のリンデンガス火力発電所6号機で水素利用に向けたガスタービンの改造工事が完了したと発表した。工事完了により、隣接する石油精製大手フィリップス66(本社:テキサス州ヒューストン)の石油精製所で発生した水素を含むガスと、天然ガスとの混焼が可能になったとしている。JERAは米国子会社のJERAアメリカズ(本社:テキサス州ヒューストン)を通じて、同発電所6号機でフィリップス66のベイウェイ石油精製所から供給される水素を含むガスと天然ガスの混焼に向けたガスタービンの改造工事を進めることとしていた(2021年7月30日記事参照)。

JERAによると、水素は、経済合理性のある価格での調達とキャリアの技術開発が必要なことから、日本での発電利用には時間を要すると考えられている。同社はこれら課題の解決に取り組むとともに、水素が調達可能な地域で先行して発電所での利用を進めることで、今後の同社の国内外の発電事業に展開可能な技術力や経験の蓄積を目指すとしている。

今回の工事完了により、同発電所6号機では最大で40%(体積比)までの水素混焼が可能になるとしている。同発電所に隣接する石油精製所から供給される水素を含むガスの有効利用により、同発電所6号機と同石油精製所の二酸化炭素(CO2)排出量の低減が見込まれている。

JERAは米国でエネルギーの安定供給や脱炭素化に向けた取り組みを進めており、2023年3月に米国シェブロンと米国やオーストラリアでのCO2回収・貯留(CCS)事業で提携(2023年3月8日記事参照)を発表した。4月には米国ベンチャー・グローバルと液化天然ガス(LNG)売買契約締結(2023年5月1日記事参照)を発表した。さらに、5月にはNTTアノードエナジーと米国再生可能エネルギー発電事業者などの買収(2023年5月19日記事参照)を発表した。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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