カナダ中銀、政策金利を0.25ポイント引き上げ4.75%に

(カナダ)

トロント発

2023年06月08日

カナダ中央銀行は6月7日、政策金利を0.25ポイント引き上げ4.75%とすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。中銀は利上げのインフレ抑制効果を見極めるため、2023年1月の0.25ポイント引き上げ以降、金利を据え置いてきた(2023年1月26日記事参照)。しかし「需要と供給のバランスを取り戻し、インフレ率を持続的に2%の目標に戻すための十分な制約として金融政策が機能していない」と判断し、利上げの再開を決めた。

中銀はカナダ経済について、堅調で広範な消費の伸びから、2023年第1四半期(1~3月)のGDP成長率が前期比年率3.1%に達し、予想を上回って好調だと説明している(2023年6月2日記事参照)。また、サービス需要は回復を続け、金利に敏感な商品への支出も増加し、住宅市場も最近持ち直していると指摘している。労働市場は、移民の増加などで労働者の供給が拡大する一方、旺盛な労働需要により新規労働者が速やかに吸収され、タイトな状態が続いているとした。

さらに、4月の消費者物価指数(CPI)の上昇率が4.4%と、10カ月ぶりに伸びが拡大し(2023年5月17日記事参照)、CPI上昇率が目標の2%を超えて推移することへの懸念が高まったことを明らかにした。

中銀は今後の政策金利については、「コアインフレの動態とCPI上昇率の見通しを引き続き評価する。特に、過剰需要やインフレ期待、賃金の伸び、企業の価格行動の動きがインフレ目標の達成に沿っているかを評価する予定」とのみ表明し、前回4月の会合(2023年4月13日記事参照)で示した「さらに引き上げる用意がある」との文言を削除した。

ただし、市場では利上げを予測する向きもある。モントリオール銀行(BMO)のマネジングディレクターのベンジャミン・レイツ氏は今回の発表を受け、「声明のトーンはかなりタカ派的だが、最近のデータの流れからすれば、驚くには値しない」とした上で、「今後数週間、データが堅調に推移すれば、7月に0.25ポイントの追加利上げが行われる可能性が高そうだ」とコメントした(BMOエコノファクツ6月7日)。

次回の政策金利の発表は、7月12日に予定されている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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