4月のカナダ消費者物価指数、前年同月比4.4%上昇

(カナダ)

トロント発

2023年05月17日

カナダ統計局が5月16日に発表した4月の消費者物価指数(CPI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、前年同月比で4.4%上昇と、3月の上昇率(4.3%、2023年4月19日記事参照)を0.1ポイント上回り、2022年6月以来10カ月ぶりに上昇に転じた。統計局ではその要因として、家賃の高騰や住宅ローン金利コストの上昇を挙げた(添付資料表参照)。

品目別では、住居関連費用は前年同月比で4.9%上昇し、このうち住宅ローン金利コストは28.5%上昇した。これは、住宅ローンの借り換えや新規契約が前年同月と比べてより高い金利で行われたことに起因する。また、高金利環境が賃貸需要の増加を刺激し、家賃の6.1%上昇に寄与していると統計局では説明している。

食料品は、3月の前年同月比8.9%上昇に比べて緩和したものの、4月も8.3%上昇した。このうち家庭用食品は3月の9.7%上昇に続き、4月は9.1%上昇した。

一方、ガソリン価格は、ロシアのウクライナ侵攻の影響もあって2022年4月に価格が上昇していたため、前年同月比で7.7%下落した。ただし、1年半前(2021年10月)と比較すると10.0%上昇した。

発表を受けて同日、CIBCキャピタルマーケッツのマネジング・ディレクター兼チーフエコノミスト、エイバリー・シェンフェルド氏は「家賃や幅広いサービスにおける活発なインフレは、力強い雇用創出と堅調な賃金に結びついた家計の消費力向上によって維持されている。このような物価上昇に対する抵抗は、所得の伸びが鈍化し、カナダ人が価格上昇する品目の購入を減らさざるを得なくなったときにのみ生じるだろう」とした上で、「カナダでこれ以上の利上げが行われないとするわれわれの予測は、雇用市場の逼迫が軟化するかどうかに大きく依存しており、今後数カ月でそうならない場合には、予測を見直す必要があるかもしれない」とコメントした(CIBCエコノミック・フラッシュ5月16日)。

中央銀行の次回政策金利の発表は6月7日に予定されている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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