カナダの第1四半期GDPは年率3.1%増、輸出や個人消費が牽引

(カナダ)

トロント発

2023年06月02日

カナダ統計局が5月31日に発表した2023年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は、2022年第4四半期(10~12月)のゼロ成長を経て、前期比年率3.1%外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとなった。中央銀行は4月12日に発表した金融政策報告書で、第1四半期の成長率を2.3%と予測していたが、それを上回った。輸出や個人消費支出が伸びたものの、在庫投資は鈍化し、住宅投資や企業の機械・設備投資は減少した。

貿易では、輸出で自動車や貴金属、穀物などが好調で、10.1%増を記録した一方、輸入でも原油や医薬品などが増加したことから、0.9%増となった。

個人消費支出は、トラックやバン、スポーツ用多目的車(SUV)の新車をはじめとする耐久財や、衣料品などの半耐久財への支出が好調で、5.7%増だった。

設備投資は、企業の機械や機器への投資が3四半期連続して減少し、第1四半期は9.6%減だった。中型・大型トラック、バスなどの自動車、航空機などの輸送機器への投資の減少が起因した。

在庫投資は、農業部門の在庫に加えて、自動車などの耐久財の在庫も減少し、2021年第4四半期以降で在庫変化が最小となるなど、GDP成長率を押し下げる要因となった。

加えて、住宅投資も金利上昇に伴って14.6%減となり、4四半期連続の減少だった。

統計局の発表を受け、TD銀行のディレクター兼シニアエコノミストのジェームス・オーランド氏は「中銀の次回の金利決定は来週に予定されており、今回の発表は(金利維持という中銀の)傍観をやめさせるものではないかもしれないが、今夏以降の利上げの根拠として利用される可能性はある。これまでのところ、中銀の(金利維持という)説得術は、2023年内に経済成長が急速に減速するとの予想に特化している。この減速は起こりそうではあるが、もしデータが好調に推移すれば、中銀は再び動かざるを得なくなるかもしれない」とコメントした(TDエコノミクス5月31日)。

次回の中銀の政策金利発表は、6月7日に予定されている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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