AmazonとIIPPFが「模倣品対策セミナー2023」共催

(日本、世界)

知的財産課

2023年06月27日

ジェトロが事務局を務める「国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)」(注1)は614日、特許庁模倣品対策強化事業の一環として、「IIPPFインターネットプロジェクトチーム(PJ)・Amazon3回ワーキンググループ(WG)会合」を実施した。Amazonから日本企業に向けて模倣品対策の取り組みについて説明があったほか、同社模倣品対策ツールについて権利者と実務面の意見交換が行われた。

IIPPFインターネットPJは、海外電子商取引(EC)事業者などとの対話を積極的に行っており、Amazonとは2017年からほぼ毎年、同社サイト上での模倣品対策について、意見交換会を実施している。2021101日には、今後のさらなる協力を図るためIIPPFインターネットPJとアマゾンジャパンとの間でMOUを締結した(20211025日記事参照)。これを機に、より活発な議論の場としてAmazonワーキンググループ(WG)を発足した。今回、第3回となるWG会合の開催に至った。

会合前半の「Amazon模倣品対策セミナー」では、多くの企業・団体から300人を超える参加があった。Amazonからは、ブランドオーナーと連携して模倣品の排除を図る「Amazon Brand Registry」(注2)や、ブランド登録後に利用可能な同社模倣品対策ツールの紹介があった。近年、同社では悪質な出品を防ぐために、高度な機械学習を利用した自動保護機能による対策を強化している。多くの権利者からの情報提供が同機能の精度向上につながることから、権利者による積極的な登録・利用が促された。

その他、ブランドオーナーや捜査当局との連携により模倣品の差し押さえなどを実行する「模倣品犯罪対策チーム(Counterfeit Crimes Unit)」について紹介があった。実際に同チーム立ち会いのもと、ブランドオーナーや捜査当局との連携を通じて模倣品摘発に成功した事例が共有された。これらの取り組みの詳細は、同社発行のBrand Protection Report20234月発行外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで紹介されている。

後半の意見交換セッションでは、IIPPFインターネットPJ加盟企業から約20社・団体の参加があり、約2時間半にわたり同社サイト上での模倣品対策について意見交換が行われた。会合参加者からは、「公開されている資料内容の背景や、実務上の生の話を聞けたことでより理解が深まった。」「Amazonの権利侵害対策が昔よりもかなりアップグレードしており驚いた。有意義な会合だった。」などの声があった。

IIPPFインターネットPJは、ECビジネスを行う関係各社と積極的に対話し、交流を通した協力関係を築くことで、インターネット上の模倣品問題の解決を図り、消費者の安全・安心のため活動を続けている(注3)。

写真 前半セミナー(会場参加)の様子(ジェトロ撮影)

前半セミナー(会場参加)の様子(ジェトロ撮影)

写真 開会あいさつ(ジェトロ撮影)

開会あいさつ(ジェトロ撮影)

(注1)IIPPFは2002年4月、模倣品・海賊版などの海外における知的財産権侵害問題の解決に意欲を有する企業・団体によって設立され、2023年6月現在で90団体・203企業が参加している。IIPPFを構成する地域・分野別の各PJでは、海外の政府機関や専門家などとの意見交換会などを実施している。

(注2)2017年から開始した無償のサービス。Amazonでの出品有無にかかわらず登録でき、「Amazon Brand Registry」への登録を行うと、権利者は権利侵害の疑いのある商品を発見・報告できる。

(注3)IIPPFの概要・メンバー登録申し込みはこちらを参照。

(藤本海香子)

(日本、世界)

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