iPhone生産を取り巻くインドの環境

(インド)

チェンナイ発

2023年05月18日

iPhoneを生産する米国アップルがインドでの生産・販売を拡大する動きが見られる昨今(2023年5月17日記事参照)、インドではiPhoneを含めた携帯電話の生産に適した環境が整いつつある。

製造業振興政策の生産連動型インセンティブ(PLI)スキームでは、現在14分野が補助金支給の対象になっており、iPhoneを含む電子機器分野の生産も対象に含まれている。対象期間は原則5年間だが、電子機器分野は1年延長され、2026年3月までとなった。フォックスコン、ペガトロン、ウィストロンの3社は同スキームに申請し、補助金の支給対象となっている(2020年10月13日記事参照)。

また、工場での生産を担う従業員に関し、インド各州で従業員の勤務時間に関する工場法改正の動きがみられる。2023年2月にカルナータカ州議会が12時間勤務を容認する法案をいち早く可決した(2023年2月27日記事参照)が、この法案には、アップルとフォックスコンがロビーイングしたと報じられている。これにより、インドでiPhoneが生産される工場で今後、中国のような各12時間の2シフト制による工場運営ができるようになる可能性がある。

また、iPhone部品の輸入に裨益(ひえき)するとみられる関税の改正が行われた。インド財務省は2023年2月、携帯電話の生産に係る部品の関税を引き下げた。具体的には、次のとおり、カメラと電池に関する緩和策が実施されている。

  • 携帯電話のカメラモジュールのレンズの部品の基本関税(BCD)を2.5%から0%へ引き下げ。
  • 携帯電話のバッテリー生産向けのリチウムイオン電池のBCD引き下げを一年延長し、2024年3月末まで5%を適用。

(浜崎翔太)

(インド)

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