カルナータカ州議会、女性従業員の深夜工場勤務を容認

(インド)

ベンガルール発

2023年02月27日

インド・カルナータカ州議会は2月22日、女性従業員の工場などでの深夜勤務を容認する法案を可決した。今回の工場法の改正は、女性の労働時間に対する制限に関して緩和に向けた働きかけがソフトウエア業界などからあったことから、実現した。

本法案では、1日当たりの就業時間を9時間から12時間に拡大し、1週間の労働時間が計48時間を超過しないようにすることも含まれている。そして、12時間勤務を4日連続で行った場合、当該従業員は3日間の休みが取得できることも議決された。また、時間外労働に関しても言及され、通常の2倍の賃金の支払いが義務付けられた。本就業時間の延長により、経済活動の拡大や雇用機会の創出が期待される。

さらに、今回の法案では雇用主に対して、女性従業員が夜勤の際は自宅から職場までの交通手段を提供することを義務付け、車両に防犯カメラやグローバル・ポジショニング・システム(GPS)を装備することを規定している。雇用する際にも、女性従業員は10人以上の集団で雇用することが求められ、工場への適切な照明や防犯カメラの設置、防犯カメラの映像を45日以上保管するなどの就労環境の整備についても記載される。さらに、職場でのセクシャルハラスメントの防止や抑止も雇用主や職場責任者に義務付けており、女性の適切な労働条件の確保と、いかなる従業員も雇用に関して不利益を被ることがあってはならないことが明記された(「ヒンドゥスタン・タイムズ」紙2月23日)。

インドでは「インド憲法」第14条において、「すべての人に平等な機会が提供されなければならない」との方向性が示されている。しかし、世界経済フォーラム(WEF)の「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2022年版」によると、経済への参加と機会の項目では、労働市場への参画や所得における格差が大きいと評価され、インドは146カ国中143位だった。女性の社会進出の支援は、2013年の会社法で一定の規模以上の公開(有限責任)会社に対し、1人以上の女性取締役の選任が義務付られ、また2017年の労働法の改正では、女性の産休取得期間が従来の12週間から26週間に拡大される(2018年5月9日付地域・分析レポート参照:インドの女性の社会進出 現状と今後)など、中央政府レベルでは整備が進められてきた。州レベルでも今後、さらなる男女の就業機会の均等に向けた動きが期待される。

(大野真奈)

(インド)

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