フランス政府、2022年の外資投資規制年次報告を公表

(フランス)

パリ発

2023年05月19日

フランス経済・財務・産業およびデジタル主権省国庫総局は5月9日、2022年の外国企業投資規制に係る年次報告を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

2022年の外国企業によるフランス企業の買収案件について、外資規制(注)による事前届け出の対象となった投資件数は325件で、ほぼ前年と同様(2021年は328件)(2022年3月25日記事参照)だった。認可件数は131件で、うち53%が国益保護を理由に、経済・財務・産業およびデジタル主権省が提示した条件付きでの認可となった。

認可を受けた投資案件を分野別にみると、公安・治安・国防に関する投資案件が全体の23.7%だった。インフラ、エネルギーや水の供給、運輸サービス、公衆衛生、食料安全保障などに関する投資案件が全体の51.9%となった。

認可を受けた投資案件を国・地域別にみると、欧州経済領域(EEA:EU加盟国、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン)外の企業による投資件数が、英国、米国、カナダを中心に全体の65.8%を占めた。EEA内では、ドイツ、ルクセンブルク、イタリアの件数が多かった。また、最終投資家の分類をみると、全体の47.4%を金融機関が占め、39.0%を産業界が占めた。

フランスでは、新型コロナウイルス感染拡大による経済危機に対応して外資規制を強化するため、2020年に、事前認可の対象となる議決権付き株式の外資による保有比率を25%超から10%超に引き下げる措置が一時的に導入された(2020年12月23日記事参照)。その後、エネルギー危機に関連した経済状況の変化に鑑み、同措置は適用期限が延長され、2023年12月31日まで適用される。

ブリュノ・ル・メール経済・財務・産業およびデジタル主権相は、2023年1月5日の記者会見で、米国のインフレ削減法(IRA)の実施に対し、欧州の利益をより考慮する観点から、外資による支配基準の引き下げを恒久化する意向を表明している。

(注)フランスの外資規制はジェトロウェブサイト「外資に関する規制」を参照。

(坂本紀代美)

(フランス)

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