外資規制の特例措置を2021年末まで継続

(フランス)

パリ発

2020年12月23日

フランスのブリュノ・ルメール経済・財務・復興相は12月18日、新型コロナウイルス感染拡大による経済危機に対応して強化した外資規制を2021年12月31日まで継続すると発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

2020年4月に新型コロナウイルス感染拡大の影響で戦略的産業分野が弱体化しているとして、外資規制の対象となる指定業種にバイオテクノロジーを追加し(2020年5月11日記事参照)、7月には2020年7月22日付首相政令(デクレ)第2020−892号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにより、2020年12月31日までの期限付きで、事前届け出の基準となる、外国企業が所有する議決権の比率を25%から10%に引き下げていた。

ルメール大臣は今回、新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴う経済危機が長引いており、マイノリティー出資でも国家防衛の利益を侵害し、公的秩序と公安を害する可能性があるとして、2021年12月31日まで事前届出の基準を議決権の10%とする特例措置を継続することを決めた。

特例措置の適用は欧州経済領域(EEA:EU27カ国、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン、EU離脱移行期間中は英国を含む)外の上場企業による買収案件に限定される。議決権が10%を超える買収を計画する外国企業は事前に経済・財務・復興省財務総局に届け出る必要がある。経済・財務・復興相が10日以内に同案件が外資規制の審査の対象となるか否かを決定する。

これに関連し、国防省は12月18日、米国の産業機器テレダインによるフランスのフォトニスの買収計画について、外資規制の適用により却下したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。フォトニスはフランス軍向けに赤外線暗視スコープを製造するほか、原子力分野でも戦略的技術を持つ。国防省は今回の決定について、フランスの国益を守り、国家の経済・産業上の主権を確保するという政府の意思に対応したものとし、今後、フォトニスの事業継続に向けた代替案をフランスの企業や金融機関と協議する意向を示した。

フォトニスの株主であるフランス投資会社アルディアンはテレダインに所有株式を売却することで合意していたが、政府は早期からフォトニスは戦略的企業として、重工大手タレスなどのフランス国内企業による買収を支持していた。

(山崎あき)

(フランス)

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