バイデン米政権、北米3カ国で閣僚レベルの競争力委員会立ち上げを宣言
(米国、メキシコ、カナダ)
ニューヨーク発
2023年05月26日
米国のバイデン政権は5月24日、メキシコとカナダを含めた北米3カ国で閣僚レベルの経済競争力委員会(NAMCEC)を立ち上げる共同声明を公表した。
3カ国は5月18~19日に首都ワシントンで、初となる北米半導体会議(NASC)を産学官で開催した(2023年5月24日記事参照)。NAMCECも、この機会を捉えて立ち上げが発表された。半導体やクリーンエネルギー、重要鉱物、バイオ製造技術、情報通信技術といった、将来の産業分野において地域的な競争力・生産性を強化するために、閣僚レベルで3カ国の取り組みを調整することが目的だ。その最初の実績となったNASCにおいて、3カ国は、産学を交えて次の分野で協力を深めていくことに合意したとしている。
- より強固でイノベーティブな北米の研究開発のエコシステムを支えるための情報交換を行う。機会を捉えて相互に関心のある半導体の研究開発分野で、国境を越えた新たなパートナーシップを形成していく。
- 将来の半導体産業の労働力開発のために産学のパートナーシップを強化する。
- 半導体の開発・製造・パッケージング技術および、3カ国におけるサプライチェーンのギャップを埋め、それぞれの強みをてこ入れするイノベーションを創発するための投資を行う。
これらを推進するために、北米3カ国は、高官による年2回の対話の枠組みを設立する。3カ国の間には、1994年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)を基盤とした、自由貿易協定(FTA)である米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が存在しており、特に自動車分野において、3カ国をまたぐサプライチェーンが構築されてきた経緯がある。最近でも、イタリアとアルゼンチンに本拠を置く鉄鋼大手のテルニウムが、USMCAや(生産拠点を消費地の近隣国に移転する)ニアショアリングを意識して、北米域内への投資に動くといった事例が出ている(2023年2月20日記事参照)。こうした経験、実績を先端産業分野にも展開できるか、3カ国の連携に期待がかかる。
(磯部真一)
(米国、メキシコ、カナダ)
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