フィンランド大統領、南アとの2国間の連携強化を約束

(南アフリカ共和国、フィンランド)

ヨハネスブルク発

2023年05月10日

フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領は4月25日、フィンランド企業団と共に、南アフリカ共和国を公式訪問した。同大統領は南アのシリル・ラマポーザ大統領と共に、貿易産業協力省(DTIC)が開催したラウンドテーブルに参加。両大統領は、水資源管理、教育、和平調停訓練、デジタル技術などの分野で今後も両国の協力関係を深めていくことを確認した。

4月26日には、ニーニスト大統領は南ア国際問題研究所で演説を行い、フィンランドが過去にロシアから犠牲を払って独立した歴史に触れ、安全保障強化のためにNATOに加盟した(2023年4月5日記事参照)ことについて言及。聴講する南ア関係者に対して、「あなた方と私たちは、ウクライナとロシアの問題を少し違ったレンズで見ているのかもしれない」としながらも、「世界的な危機には国際的な協力が必要で、アフリカが果たすべき役割は急速に高まっている」と述べた。

南アとフィンランドの2国間連携は、フィンランドが南アの反アパルトヘイト運動を支援した時から始まるとされ、1994年以後も両国は環境やエネルギー分野、貿易、投資などで緊密な関係にある。国際関係協力局(DIRCO)の報告では、フィンランドの南ア投資額は過去3年間で20億ランド(146億円、1ランド=約7.3円)を超えると推定され、フィンランド企業は包装、産業用クレーン、金融、エネルギー、鉱山用機械などの分野で、南アに進出している。2022年開催の「第4回南アフリカ投資会議」(2022年4月4日記事参照)では、フィンランドの食品包装大手のハッタマッキが1億5,000万ランドの投資を約束した。

なお、今回の公式訪問は当初2020年4月に予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期されていた。2国間協議を目的としたフィンランド大統領の公式訪問は、20年以上ぶりとなった(注)。

(注)2013年12月のネルソン・マンデラ大統領の葬儀へのフィンランド大統領の参加は除く。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国、フィンランド)

ビジネス短信 4f64ddc8fe6c5427