南アで投資会議を開催、80社が投資を約束

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2022年04月04日

南アフリカ共和国政府は、3月24日にヨハネスブルクで「第4回南アフリカ投資会議」を開催した。招待客約1,000人が会場に集まった。シリル・ラマポーザ大統領は、5年間で1兆2,000億ランド(約10兆800億円、1ランド=約8.4円)の新規投資を国内外から呼び込むことを目標としており、民間によるこれまでの投資実績や政府による経済改革の進捗について発表した。2018年から毎年実施されていた同会議(2018年11月1日記事参照)だが、2021年は見送られ、1年半ぶりの開催となった。本会議は、企業の今後の投資案件が発表されるため、毎回注目を集めている。

発表によると、過去3回の会議で総額7,740億ランドに上る152社が投資を約束している。新型コロナウイルス感染の影響で延期された案件があるものの、既に45件は投資が完了し、57件が現在進行中だ。投資済み案件の代表例の1つとして、同国初のハイブリッド車「カローラ クロス」を製造するトヨタが挙げられていた。

今回の投資会議では80社が投資を約束し、新規投資予定額は3,320億ランドと、2020年会議での1,096億ランドの約3倍になった。ただし、毎回常連のトヨタを含め日本企業の新規投資案件の発表はなかった。案件数でみると、ヘルスケア・製薬部門が9社と最も多く、投資額ではフォードの164億ランドが最高額だった。第4回の会議の投資予定を加算すると、2018年以降の総投資額は政府目標の95%に達する。

このほか、ラマポーザ大統領は演説で、国営企業の改革(2022年2月17日記事参照)の進捗や今後予定しているテレビのデジタル放送への移行、クリティカル・スキル・ビザ要件の改定について言及した。

経済団体ビジネス・リーダーシップ・サウスアフリカ(BLSA)のブスィスィウェ・マブーソCEO(最高経営責任者)は、本会議で、大統領が経済改革を推進し、課題解決の前向きな姿勢を見せたことに対して好意的な評価をしつつも、「投資家が南アの投資環境改善に期待できないと判断したら、約束は約束で終わってしまう」と述べ、政府が有言実行を追及し、確実に成果をあげていくよう求めた。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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