バイデン米大統領、2024年大統領選に向け立候補表明、ハリス副大統領と再選目指す

(米国)

ニューヨーク発

2023年04月26日

米国のジョー・バイデン大統領は425日、2024115日に行われる大統領選挙に向けて立候補することを正式に表明した。

バイデン大統領はツイッターに3分ほどの動画とともに、「全ての世代が、民主主義のために、自らの根本的な自由のために立ち上がるべき瞬間がある。われわれの世代にとってそれは今だ。だから、私は米国大統領の再選を目指して立候補する。この仕事を成し遂げよう」とのメッセージを投稿した。動画の中では、202116日に起きた連邦議会議事堂の襲撃事件の様子などを流しながら、MAGA(注1)過激派が自由の基盤を奪い、富裕層への減税に取り組む一方で社会保障を削減し、女性の医療選択権を統治し、本を禁止し、誰を愛するかを決め、投票行為を困難にしようとしていると、共和党との対決姿勢を鮮明にしている。副大統領候補は現職のカマラ・ハリス氏となる。同氏もツイッターで「米国民として、われわれは自由を信じている。そして、民主主義は、われわれがそのために闘う意志を持って初めて強くなると信じている。だからこそ、バイデン大統領と私は再選を目指して立候補する」と投稿した。

画像 バイデン氏の立候補に関するツイート画面

バイデン氏の立候補に関するツイート画面

バイデン大統領は2022年12月に、大統領予備選挙の実施州の順番変更を民主党全国委員会に要請するなど、立候補に向けた動きを見せていた(2022年12月5日記事参照)。民主党内からは主要な対抗馬は出ておらず、同党としてはバイデン大統領とハリス副大統領で2024年の選挙を戦うコンセンサスが形成されていると考えられる。一方で、直近のNBCニュースが4月14~18日に行った世論調査では、バイデン大統領が現時点で80歳と現職大統領として史上最高齢であることなどを理由に、「立候補すべきでない」とする回答率が7割との結果が出るなど、有権者の間では厳しい見方もある(2023年4月24日記事参照)。各種世論調査の平均値を出しているリアルクリアポリティクスの支持率(4月25日時点)を見ても、支持率42.8%に対して不支持率が53.7%と、10ポイント以上、上回る状況となっている。対する共和党からは既に複数の候補が立候補を表明している。「ウォールストリート・ジャーナル」紙が4月11~17日に共和党有権者を対象に実施した世論調査では、依然としてドナルド・トランプ前大統領が支持率48%で第1位となり、24%で第2位となったフロリダ州のロン・デサンティス知事(注2)を大きく突き放している。この状況が続けば、2020年の選挙同様、2024年の大統領選挙はバイデン大統領対トランプ前大統領の対決となる可能性が高いが、ホワイトハウスのスタッフや民主党幹部は、相手がトランプ氏であればバイデン大統領の勝利は安全圏とみているとされる。他方で、現時点で44歳のデサンティス知事のような若い対抗馬となった場合は、状況は変わるとみる向きもある(政治専門紙「ポリティコ」4月25日)。

(注1)MAGAは、Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)の略。元はドナルド・トランプ前大統領の選挙キャンペーンのスローガンだが、今では民主党支持者らがトランプ氏と共和党の同氏支持者を批判的に表現する際に用いられることが多い。

(注2)デサンティス知事は4月25日時点で、正式な立候補を表明していないが、大統領選挙に向けての非公式な活動を行っている(2023年4月10日記事参照)。

(磯部真一)

(米国)

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