米民主党、2024年大統領予備選挙の実施順を変更、バイデン大統領からの要請受け

(米国)

ニューヨーク発

2022年12月05日

米国の民主党全国委員会(DNC)の規則・細則委員会は12月2日、ジョー・バイデン大統領が前日に提案した、2024年大統領予備選挙の実施州の順番変更について承認した。民主党予備選挙は、サウスカロライナ州(2024年2月3日)から始まることになる。

米国の主要政党は、大統領選挙に立候補する党の代表候補を選定するため、全米各州・準州ごとに予備選挙または党員集会を実施する(注1)。各党はその結果に基づき、州・準州に割り当てられた代議員を各立候補者に割り当て、最も多くの代議員を獲得した立候補者が、選挙年の夏に開催される党の全国大会で党の代表候補に指名される。2020年大統領民主党予備選挙では当初、20人以上が立候補していたが、これらの過程を経て、バイデン大統領が代表候補に指名された(2020年8月24日記事参照)。

バイデン大統領が2022年12月1日にDNCへ提出した書簡外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、提案の要点は(1)党員集会方式の廃止と(2)予備選挙を実施する州・準州の順番の変更、の2点だった。(1)については、この方式では全ての有権者が参加できないことに加え、公開投票であり、相当な時間が割かれることが理由に挙げられていた。(2)については、経済的、地理的、人口動態的な多様性を反映すべく、それらの多様性に富む州で、早期に予備選挙を実施すべきだとしていた。具体的に順番の提案は書簡に記載されていなかったが、主要メディアによると、バイデン大統領はサウスカロライナ州を最初とし、続いてニューハンプシャー州、ネバダ州、ジョージア州、ミシガン州の順に変更したいという意向を持っていたという(注2)。中でも、サウスカロライナ州は2020年大統領予備選挙で、バイデン大統領が黒人層の支持を受け最多得票率を獲得した州であり、これを機に党の代表候補に向け躍進した経緯がある。バイデン大統領はこのような経緯を重ね、再選に向け立候補の意思を固めたのではないかと見る向きもある(「ワシントン・ポスト」紙電子版12月1日)。これまで予備選挙の実施時期が早かったアイオワ州やニューハンプシャー州の民主党幹部や同州選出の連邦議会議員らは落胆の声を上げていたが、順番の変更は大統領の意向どおりに進んだ。

2024年大統領民主党予備選挙は、最初のサウスカロライナ州に続き、2024年2月6日にネバダ州とニューハンプシャー州で、2月13日にジョージア州で、2月27日にミシガン州で実施される。中間選挙の投開票が2022年11月8日に行われたばかりだが、ドナルド・トランプ前大統領の立候補表明を含め、早くも2024年大統領選挙に向けた動きが活発化している(2022年11月16日記事参照)。

(注1)予備選挙は、投票所で行われる一般的な無記名投票。中には、政党に登録した有権者のみが投票できる「閉鎖型」を採用する州もある。党員集会は、忠実な党員が立候補者に代わって意見を述べ、参加者が公開投票を行う形式。詳しくはアメリカンセンターJAPANの解説ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)従来、初期段階はアイオワ州から始まり、ニューハンプシャー州、ネバダ州、サウスカロライナ州の順とされていた。

(磯部真一)

(米国)

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