米税関、「貿易円滑化・貨物セキュリティ・サミット」を開催
(米国、グアテマラ、コロンビア)
ロサンゼルス発
2023年04月26日
米国税関・国境警備局(CBP)は4月17~19日、マサチューセッツ州ボストンで「貿易円滑化・貨物セキュリティ・サミット」を開催した。同サミットには、CBPの職員に加えて、物流業界関係者や専門家が参加し、輸入規制や通関業務におけるベストプラクティス、サプライチェーン上の課題などを巡って実務的な議論が行われた。
CBPは、同サミットにおいて、2022年度(2021年10月~2022年9月)に3,910万件(3兆3,500億ドル以上)の米国向け貨物の輸入通関手続きを行い、そのうち2,398件(4億6,600万ドル以上)については、強制労働に関与した貨物の疑いがあるために追加調査を実施したと報告した。
1日当たり約200万件の手続きを行っている小口貨物については、サプライチェーンが複雑化しているため、知的財産権を侵害する偽造品などを特定し、違反行為を抑止することが困難になっていると説明した。また、電子商取引(EC)の急拡大に伴い、非課税基準額(注)範囲内の物品取引が増えていることについて、関税徴収の抜け道になっていると指摘。こうした小口貨物の増加に対応するため、CBPは2019年から、1930年関税法第321条に基づくパイロットプログラム(2019年8月1日記事参照)を導入し、EC事業者などと連携して事前に貨物情報を入手することで、通関手続きを円滑化する取組みを行っているとした。
また、CBPは、2018年から取り組む通関業務の現代化に向けた「21世紀税関枠組みイニシアチブ(21CCF)」を行っている。21CCFは、輸出入者業者や通関申請者に輸入貨物の説明責任を求めることにより、サプライチェーンの透明性を高めることで、安全な物品の移動の実現させることを目的としており、具体的には、同枠組みの下で(1)サプライチェーンの透明性の実現、(2)データを中心とした意思決定の推進、(3)合理的な配慮の拡大を目指すことを掲げている。CBPは、これら21CCFが描く変革的な改革を真に実現するためには、法律の改正が必要としており、法制化に向けた審議が、2023年6月14日の商業税関運営諮問委員会(COAC)で行われるとした。CBPは、2023年内に法制化の取り組みが終わると見込んでいると説明した。
なお、サミットの会期中には、CBPのトロイ・ミラー長官代理が、グアテマラおよびコロンビアの税関当局とそれぞれ認定事業者(AEO)制度の相互承認取り決め(MRA)に署名した(2023年4月21日記事参照)。今後、CBPとグアテマラおよびコロンビアの税関当局は、通関に必要な情報を交換するプラットフォームを提供し、サプライチェーン・セキュリティ・プログラムの互換性を認識するとしている。
(注)非課税基準額(デニミニス値)である1人当たり1日800ドル未満の米国向け輸入貨物については、簡易的な通関手続きが適用され、関税・消費税が課税されない。
(サチエ・ヴァメーレン)
(米国、グアテマラ、コロンビア)
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