住友商事、ディーゼルエンジンの燃費改善・CO2排出量削減へ米スタートアップの水素技術活用

(米国、日本)

ヒューストン発

2023年04月17日

住友商事は4月13日、米スタートアップ企業ハイドロジェン・オンデマンド・テクノロジーズ(本社:カリフォルニア州サンノゼ)が開発した、トラックやバス、重機、船舶などに搭載の大型ディーゼルエンジン向けの水素を活用して燃焼効率を上げる製品(D-HAT)により、港湾の荷役車両などのディーゼルエンジンが必要な商用車・特殊車両の二酸化炭素(CO2)排出量削減、燃費改善に取り組むと発表した。

D-HATは、水を電気分解することで毎分4リットルの水素を生成し、高圧水素タンクで貯蔵することなくディーゼルエンジンに送り込み、水素によって燃焼効率を高めることが可能としている。これにより従来のエンジンの性能を維持しつつ、燃費を向上させることで、軽油使用量とCO2を含む排気ガスの量をそれぞれ10~15%削減し、経済価値と環境価値の両立が可能という。D-HATは、水素ステーションや外部からの水素注入を必要とせず、ディーゼルエンジンに後付けが可能な点が特長としている。

住友商事は北米の貨物輸送を担う地場企業と調整し、同地域でD-HAT導入の実証実験を開始している。米州住友商事は、各産業が持つ特殊性や課題に向き合いながら、これまで培ってきた輸送機器分野の知見を生かして、CO2排出量の削減に貢献する方針だという。

住友商事は米国で脱炭素化の取り組みを進めており、2023年1月に光触媒を用いた米国スタートアップのサステナブル燃料製造プロジェクトへの参画(2023年1月31日記事参照)、2月に米国エムピーマテリアルズと電気自動車(EV)や風力発電用モーターなどの先端産業に欠かせないレアアースの日本向け独占販売代理店契約を締結(2023年2月22日記事参照)、3月には米国で船舶向けアンモニア燃料供給の検討開始(2023年4月6日記事参照)をそれぞれ発表している。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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