住友商事、米エムピーマテリアルズとレアアースの日本向け独占販売代理店契約

(米国、日本)

ヒューストン発

2023年02月22日

住友商事は2月22日、世界最大級のレアアース製造・販売会社である米国エムピーマテリアルズ(本社:ネバダ州ラスベガス)と、エムピーマテリアルズが製造するレアアースの日本向けの独占販売代理店契約を締結したと発表した。

発表によると、ネオジム、プラセオジムなどのレアアース材料は、世界で最も強力なネオジム鉄ボロン磁石と呼ばれる永久磁石の原料で、この永久磁石は、脱炭素化に向けて需要拡大が見込まれる電気自動車(EV)や風力発電用モーター、各種電子機器などの先端産業に欠かせない部品となっている。そのため、レアアースの世界的な需要は急速に増えており、供給の拡大を上回っているとされている。現在、日本は世界有数のレアアース生産国である中国からの輸入を主な供給源としているが、住友商事はエムピーマテリアルズが製造する米国産レアアースの供給を通じて、日本における調達の多様化および安定化に貢献する方針だ。

エムピーマテリアルズのマウンテンパス工場は、米国カリフォルニア州の厳しい環境規制の下で、鉱石残渣(ざんさ)も含め、生産工程における廃棄物や排水を再利用する環境負荷の低い操業を実現しているとされる。

住友商事は、1980年代にレアアースの輸入取引を開始して以降、レアアースの安定したサプライチェーンを確立するために、探査、開発、生産、販売活動をグローバルに実施してきた経験を有する。同社はこれらの知見により、高度化した経営資源を生かし、付加価値のあるトレードを構築していくとしている。

なお住友商事は、米国で脱炭素化の取り組みを進めており、核融合分野への知見を深め、社会実装に取り組むため、2022年6月に米国の核融合関連企業TAEテクノロジーズへの出資に参画したと発表している(2022年7月26日記事参照)。また、2023年1月には、光触媒を用いた米国スタートアップのサステナブル燃料製造プロジェクトへの参画を発表した(2023年1月31日記事参照)。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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