イスラエルとUAEのFTAが発効、両国貿易は拡大傾向

(イスラエル、アラブ首長国連邦)

テルアビブ発

2023年04月05日

イスラエル外務省は3月26日、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)が両国間の関税協定に署名し、自由貿易協定(FTA)が発効することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これにより、2022年4月に両国間での合意がなされ、同5月に署名されたFTAが2023年4月1日から有効になった(2022年4月5日記事2022年6月2日記事参照)。

同FTAは、2020年9月のアブラハム合意による両国間の国交樹立に端を発する融和の流れの中で締結され、イスラエルとアラブ国家との間で結ばれた初のFTAだ。FTAの発効によって、両国間の財の貿易に関する約96%の品目の関税が、即時あるいは段階的に撤廃される予定だ。

アブラハム合意後の両国間の貿易や投資の推移をみると、両国間の経済連携は堅調に拡大していることが分かる。イスラエル中央統計局の公表データによると、アブラハム合意以前にはほとんど存在しなかった両国間での輸出入が、2022年にはイスラエルからの輸出が6億3,950万ドル、イスラエルへの輸入が18億9,090万ドルとなり(添付資料表参照)、輸入に関しては日本からの金額14億120万ドルを上回った。

他方で、イスラエルの銀行の対応方針など非関税障壁によって、本来両国間に存在するビジネス面での可能性を生かしきれていないという見方もある(「グローブス」紙2023年1月22日)。

なお、イスラエルとしては、史上最も右寄りと言われる現政権の強硬な政策やサウジアラビアとイランの国交正常化により、アラブ諸国との協調戦略に見直しが迫られる可能性も報じられている(2023年3月22日記事参照)。

(太田敏正)

(イスラエル、アラブ首長国連邦)

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