1月のインフレ率は前月比0.53%、今後は政策金利の行方と燃料免税措置停止が影響

(ブラジル)

サンパウロ発

2023年03月07日

ブラジル地理統計院(IBGE)は2月9日、同国の代表的な物価指数である拡大消費者物価指数(IPCA)について、1月の前月比上昇率を0.53%と発表した(添付資料表参照)。

費目別にみると、9項目中8項目が上昇した。最も上昇率が高かったのは通信(2.09%)、次いで、個人的支出(0.76%)、家庭用品(0.70%)と続いた。寄与度で見ると、飲食料品(0.13ポイント)、交通・運輸(0.11ポイント)、通信(0.10ポイント)の寄与度が高い。IBGEは、飲食料品については複数の農作物の栽培地域の集中的な降雨などの影響によるもの、交通・運輸、通信についてはガソリン価格と自動車保有税(IPVA)の上昇、通信は電話、インターネット、テレビのパッケージ契約の価格改定などがあったためと説明した。

ブラジル中央銀行は、2023年のインフレ目標値を3.25%、同上限値を4.75%にそれぞれ設定している。政策金利は2022年8月に13.75%に0.50ポイント引き上げられて以降、金利は据え置かれている。しかし、2022年(1~12月)のインフレ率は5.79%まで上昇しており、2023年のインフレ目標値を超過している。

中銀は45日ごとに金融政策委員会(Copom)を開催し、金融政策をつかさどる。金融政策委員会(Copom)の決定に影響を与える中銀役員8人のうち、2023年末までに4人の人事交代が可能。また、ルーラ新政権は1月1日付大統領暫定措置令1,157号により、ガソリン、エタノール、ディーゼル、バイオディーゼルなどの燃料に対して、社会保険融資負担金(COFINS)と社会統合基金(PIS、注)を2月28日まで免税にしていたが、3月1日付の大統領暫定措置令1,163号により、ガソリンとエタノールの免税措置を6月30日までの4カ月間、取りやめる。3月以降のインフレ上昇率に与える影響に注目が集まっている。

(注)ジェトロ国別ページ、ブラジルの「税制」を参照

(古木勇生)

(ブラジル)

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