英米エネルギー相が会談、クリーンエネルギーの展開に向け協力確認
(英国、米国)
ロンドン発
2023年03月02日
英国のグラント・シャップス・エネルギー安全保障・ネットゼロ相と、米国のジェニファー・グランホルム・エネルギー長官は2月28日、ロンドンでは初めてとなる会談を実施した。この会談は、ボリス・ジョンソン元英首相とジョー・バイデン米大統領により2021年6月に創設された「戦略エネルギー対話」の枠組みに基づくもので、今回はその第3回会合。両国間では2022年12月7日にも「エネルギー安全保障・アフォーダビリティ・パートナーシップ」(2022年12月8日記事、12月9日記事参照)が締結されている。
今回の会談の概要は以下のとおり。
(1)エネルギー安全保障
- クリーンエネルギー技術に必要となる重要鉱物や金属の確保に向けた国際的な取り組みで、ESG(環境、社会、ガバナンス)の観点に基づく高水準の基準を中心に据える必要があることを確認。
- 洋上風力や原子力などの技術がより多くの国産クリーンエネルギーを提供することで、電力や産業部門の脱炭素化、エネルギー料金の引き下げに資するエネルギー安全保障の強化をいかに達成するかを議論。
(2)クリーンエネルギー技術の進歩を促進する政策と資金調達の手段
- 民生用原子力、浮体式洋上風力、水素、送電網の柔軟性とエネルギー貯蔵プロジェクトを支援する上での、国と地方政府の役割や地域社会の利益最大化について議論。
- 新たなクリーンエネルギー産業への投資を通じて生み出される雇用や経済成長など、ネットゼロを達成することによる経済的利益を認識。
(3)多国間エネルギーイニシアチブにおけるリーダーシップ
- G7、G20、「ブレイクスルー・アジェンダ」(注)の目標を達成するため、多国間フォーラムでの国際協力強化を促進するコミットメントを再確認。
(4)実務レベルの現地視察を通じた2国間関係の継続
- 2024年の第4回会合に先立ち、今回の成果に基づく実務レベルの活動を支持。
- 2023年は、両国の政策専門家が互いに1回ずつ相手国を訪問する予定。クリーンエネルギーの展開促進に向けた政策立案と資金調達の手段や、第三国でのエネルギー転換の加速に向け、実務レベルでの協力を行う。
(注)英国が議長国を務めた2021年の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で発表した、グリーン経済に向けた取り組みに関する国際的なコミットメント(2021年11月4日記事参照、2023年1月23日記事参照)。
(菅野真)
(英国、米国)
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