エネルギー安全保障強化に向けた米国とのパートナーシップを発表

(英国、米国)

ロンドン発

2022年12月09日

英国政府は12月7日、米国との「エネルギー安全保障・アフォーダビリティ・パートナーシップ」の締結を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(2022年12月8日記事参照)。ロシアのエネルギー輸出への世界的な依存を減らし、エネルギー市場を安定化させ、エネルギー効率、原子力発電、再生可能エネルギーに関する協力強化を推進する。本パートナーシップは、インドネシアで開催されたG20サミットでのリシ・スナク首相とジョー・バイデン大統領の会談に基づくもの。両者は短期的なエネルギー需要に対処し、エネルギー転換を加速するための取り組みを進めることで合意していた。

エネルギー価格の高騰に対しては、米国から英国への液化天然ガス(LNG)供給を持続的に増加させる。具体的には、英国が2023年に少なくとも90億~100億立方メートルのLNGを米国から輸入する。これは2021年の輸入量の2倍以上の規模に相当する。2023年のガス貯蔵の確保につながり、英国のみならず、欧州にも好影響を与えるとしている。2021年の英国のLNGの輸入国別割合をみると、カタールが39%で最も大きく、米国(26%)、ロシア(21%)、ペルー(6%)、アルジェリア(5%)となっている。

さらに、エネルギー効率を高める取り組みとして、クリーンな水素の開発や、核燃料および先進原子力技術分野における協力深化を含む原子力発電の促進にも取り組む。このほか、エネルギー効率の向上やガスへの需要削減にむけた措置に関するベストプラクティスの共有を行うとしている。

また、本パートナーシップは、洋上風力から炭素回収に至るまで、クリーンエネルギー技術への国際投資を促進する。これにより、英国と米国がG7各国と協力して行っている「公正なエネルギー移行パートナーシップ」を通じた、開発途上国におけるクリーンで持続可能なエネルギー利用の支援を補完するとしている。

これらに加えて、航空産業の脱炭素化や持続可能な航空燃料(SAF)の開発など革新的なエネルギー技術に関する研究や、電気自動車(EV)に関する協力に向けた取り組みを行うとしている。

(菅野真)

(英国、米国)

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