COP26でクリーン技術のコスト削減目指す国際計画に着手する声明、42カ国・地域が発表

(英国、世界)

ロンドン発

2021年11月04日

英国グラスゴーで開催されている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で11月2日、2030年までに安価なクリーン技術を世界中に提供する国際計画「ブレイクスルー・アジェンダ」に関する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが発表された。声明には、米国、インド、EU、中国、日本、開発途上国や気候変動に最も脆弱(ぜいじゃく)な国々など、これを支持する42カ国・地域が掲載されている。

英国政府の同日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、同アジェンダは、英国の「ネットゼロ戦略」(2021年10月26日記事参照)をモデルとしており、各国政府や企業が毎年、気候変動対策について連携・強化することで、クリーン技術の開発・展開を飛躍的に拡大・加速させ、2030年までにコストを削減することを目指す。同アジェンダの目的は、最も(環境を)汚染している産業分野において、クリーン技術を世界中のすべての人々にとって最も安価で利用しやすく、魅力的な選択肢とすることであり、特に開発途上国がネットゼロへの移行に必要な技術革新やツールを利用できるよう支援することにある。

同声明は、同アジェンダの最初のステップとして、5つの目標「グラスゴー・ブレイクスルー」の開始を発表。賛同する国・地域(声明上に、目標ごとにリストあり)は、他のすべての国に同アジェンダへの参加を呼びかけるとした。

  • 電力:クリーンな電力を、2030年までにすべての国が電力需要を効率的に満たすための最も安価で信頼できる選択肢とする。
  • 道路輸送:ゼロエミッション車を2030年までにすべての地域で利用しやすく、安価で、持続可能なものとし、新たな標準(ニューノーマル)とする。
  • 鉄鋼:2030年までにすべての地域で効率的な使用とゼロエミッションに近い鉄鋼生産が確立され、成長し、グローバル市場でゼロエミッションに近い鉄鋼が好ましい選択肢とされる。
  • 水素:2030年までに、再生可能で低炭素かつ安価な水素が世界的に入手可能となる。
  • 農業:気候変動に強い持続可能な農業が、2030年までに世界中の農家にとって最も魅力的で広く採用される選択肢となる。

また、各国は2022年から毎年、国際エネルギー機関(IEA)などによって作成される年次報告書に基づきながら、各分野における世界的な進捗状況を議論することにコミットする予定だ。

英国政府は同2日、「グラスゴー・ブレイクスルー」下の電力分野の主要なイニシアチブとして、英国とインドが「グリーン・グリッド・イニシアチブ」を開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同イニシアチブは、80カ国以上の賛同を得ており、政治的意思、資金、技術支援を動員し、大陸、国、地域を超えた送電網の相互接続を拡大することで、クリーンな電力をグローバルに活用し、クリーンエネルギーを利用できない人々をなくすことを目指す。

また、英国政府は、国際的な気候変動対策資金を5年間で116億ポンド(約1兆7,980億円、1ポンド=約155円)としていた(2020年12月15日記事参照)が、経済が予測どおりに成長した場合には2025年に10億ポンドを追加し、開発途上国を支援するとした。

(宮口祐貴)

(英国、世界)

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