米USTR代表がブラジル開発商工相らと会談、サプライチェーン強靭化や再エネ協力など関心事項確認

(ブラジル、米国)

米州課

2023年03月22日

ブラジル外務省は38日、米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表が37日から8日にかけてブラジルを公式訪問し、ジェラルド・アルキミン副大統領兼開発商工サービス相やマウロ・ビエイラ外相と会談を行ったと発表した。

両国の代表者らは2国間のさらなる貿易投資を促進し、強靭(きょうじん)なサプライチェーン構築の重要性を確認した。また、再生可能エネルギーの分野で強い関心をともに有し、ブラジル側はグリーン水素の可能性や、戦略的に強化する分野として、半導体、ロボット工学、健康産業、鉄鋼産業などを挙げた。

多国間の問題や課題についても議論し、WTOの改革と近代化に関して積極的に取り組むことを約束した。ブラジル政府は、WTOの紛争解決処理制度の上級委員会の機能が停止している状態を懸念している。また、持続可能な開発や多国間主義、食糧安全保障への積極的なコミットメントを強調した。その他、両者は不平等の是正や環境保護、女性のエンパワーメントなどの重要性についても確認するとともに、20226月に発効した2国間の貿易円滑化協定(ATECAgreement on Trade and Economic Cooperation)の活性化と強化でも合意した。ATECは、ブラジルと米国間の貿易手続きの円滑化や規制の透明性向上を目的とした非関税分野の協定(2022629日記事参照)。ブラジルの官僚的な通関手続きの削減や、輸出入にかかるコスト削減などが期待されている。

ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は、11日の大統領就任翌月の2月に米国を公式訪問し、ジョー・バイデン米大統領と首都ワシントンで会談を行っている(2023216日記事参照)。米国はブラジルにとって重要な貿易相手国。2009年以降、中国に次ぐ輸出相手国(金額ベース)で、2022年は輸出額全体の約11%が米国向けだった。

(辻本希世)

(ブラジル、米国)

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