ブラジルと米国間で貿易円滑化協定が発効、ブラジルのビジネス環境改善へ期待

(ブラジル、米国)

米州課

2022年06月29日

ブラジル経済省は6月9日、6月8日付法令11.092(Decreto11.092)により、2020年10月19日にブラジルと米国が署名した(2020年10月21日記事参照)、貿易円滑化協定(ATEC:Agreement on Trade and Economic Cooperation)が発効PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)したと発表した。法令11.092は即日施行した。

ATECは、ブラジルと米国間の貿易手続きの円滑化や規制の透明性向上を目的とした、非関税分野における協定だ。米国通商代表部(USTR)によれば、当該ATECは、2017年2月に発効したWTO貿易円滑化協定(2017年3月1日記事参照)をさらに上回るもので、ブラジルにおけるガバナンス向上や透明性確保に寄与する。

ブラジルと米国は2011年、ビジネス環境整備委員会の開催や貿易投資について定期的に協議する機会を設けることを定めた、2国間の「貿易・経済協力協定」に署名しているが、この度、この協定に3つの付属書を追加してATECとして発効させた(注1)。3つの付属書は、付属書Iの「貿易円滑化および税関手続き(Trade Facilitation and Customs Administration)」、付属書IIの「良き規制慣行(Good Regulatory Practices)」、付属書IIIの「反汚職(Anti-Corruption)」で構成されている。

「貿易円滑化および税関手続き」は、全21条から構成される。事前教示制度、電子決裁、AEO制度(注2)などが含まれる(詳細は添付資料参照)。「良き規制慣行」は、全19条から構成される。ブラジル国内で新たな規定を策定するに当たり、パブリックコメントの実施、専門家諮問グループによる議論、ウェブサイトでの関連情報公開などを定める。より透明性の高い規定策定を目指す。全7条から構成される「反汚職」では、汚職行為に関する具体的な制裁、内部告発者保護などを規定している。

ブラジル経済省はATECについて、2国間の貿易投資促進に向けた、野心的かつ現在的な協定で、ブラジルにおける官僚的な通関手続きの削減、輸出入にかかるコスト削減につながり、さらに規定の分野ではベストプラクティスになると期待を寄せる。特に、「貿易円滑化および税関手続き」については、ブラジルが締結する協定の中で最も高度で先進的な条項が盛り込まれていると述べている。

例えば、事前教示制度は、輸入予定貨物に関する資料、関連データ、サンプルなどをあらかじめ税関に提出し、事前教示決定書の通知を受けることで、同一品目について3年間、同じ関税分類番号で繰り返し輸入できるというもの(注3)。これまで、ブラジル国内では運用されていなかった制度だ(注4)。ブラジルでは通関時に、NCMコード(注5)の軽微な誤記載によるトラブルが絶えず、多くの進出日系企業もこの問題に悩まされてきた。同制度の活用により、ビジネス環境の改善が見込めそうだ。

(注1)米USTRによれば、ATECは米国で2022年2月に発効外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。ブラジルでは、国会政令34号(Decreto Legislativo Nº 34)により本ATECの発効が承認され、米国へ通達した。その後、法令11.092の施行をもって正式に国内で発効した。

(注2)AEO制度は、貨物のセキュリティ管理と法令順守の体制が整備された事業者に対して、迅速化・簡素化された税関手続きを利用することを認める仕組み。詳細は税関の公式サイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(注3)事前教示制度の詳細は税関の公式サイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(注4)経済省傘下の課税調整総局(COSIT)が、関税分類(税番)についてのみ回答する制度は存在している。ただ、COSITは税関とは異なるため、COSITからの回答は通関時に担保されない可能性が高い。また、COSITの回答事例は非公開。

(注5)8桁で構成される、メルコスール共通関税番号。上6桁はHSコードと同じ。

(辻本希世)

(ブラジル、米国)

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