ブラジル・米首脳会談、バイオエコノミー、グリーンエネルギー利用促進へ2国間作業部会の早期招集で合意

(ブラジル、米国)

米州課

2023年02月16日

ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は2月10日、米国を公式訪問し、ジョー・バイデン米大統領と首都ワシントンで会談を行った。

ブラジル外務省によると、両首脳は会談で民主主義の強化や人権の尊重、気候変動への対処などについて協議し、引き続きこれらを共通の課題としていくと強調した。その上で、特に気候変動への対応、持続可能な開発、エネルギー転換を優先課題として認識することを決定した。両首脳は、ブラジルと米国が国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)やパリ協定の順守に向け、2国間および多国間で協力して主導的な役割を果たすことができることを認識した。また、気候変動に関する共同イニシアチブとして2015年に両国が立ち上げた「米国・ブラジル気候変動ワーキンググループ(CCWG)」をできるだけ早期に招集し、違法森林伐採への対処やバイオエコノミー強化、グリーンエネルギー利用促進、低炭素農業の促進などについて協議することを決定した。

その一環として、米国はアマゾン基金へ資金提供を行う。同基金は、2023年1月1日に発足したルーラ政権下で法定アマゾン保護(注)の目的で設立されたもの。1月2日付の政令11.368号では、同基金への寄付金を公募しており、1月30日には欧州諸国から、ブラジルのアマゾン森林保護など社会・環境問題解決のため、2億300万ユーロを受領することをブラジル環境・気候変動省が明らかにしていた(2023年1月31日記事参照)。

両首脳は会談で今日的な世界課題についても協議し、ロシアによるウクライナ侵攻や、領土併合は国際法の下では違法で、遺憾という認識を共有した。また、こうした紛争が食糧やエネルギー安全保障で、特に世界の貧困地域に与える影響を懸念し、引き続き協力していくことを表明した。

(注)ブラジル政府は、アマゾンとその周辺のセラード(熱帯草原)部分を含めた地域を「法定アマゾン」と定めている。

(辻本希世)

(ブラジル、米国)

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