ドイツ商工会議所連合会が調査発表、ドイツ企業は米国での事業展開に期待示す

(ドイツ、世界、米国)

ミュンヘン発

2023年03月13日

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は31日、国際的に事業を展開するドイツ企業を対象としたアンケート調査結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今回のアンケート調査は、国際的に事業を展開するドイツ国内の企業に、国外ビジネスの見通しや課題などについて聞いたもの。アンケート実施期間は130日~215日。約2,400社が回答した。回答企業は、従業員数0249人の規模の企業が79%を占めた。また産業分野では、製造業が最多で全体の54%、商業が17%、サービス業が14%などと続いた。

国外ビジネスを行う国・地域での2023年の事業見通しについて、「改善」の回答割合から「悪化」の回答割合を引いた数値では、米国が24ポイントと全世界でもっとも高かった(「改善」34%、「悪化」10%)。ユーロ圏は2ポイント(「改善」19%、「悪化」17%)、アジア太平洋地域(中国を除く)は1ポイント(「改善」17%、「悪化」16%)、中国はマイナス9ポイントだった。

中期的にみて重要性が高まる国・地域(複数回答可)では、ユーロ圏が74%でもっとも高く、「ユーロ圏を除くEU加盟国/スイス/ノルウェー」が47%で続いた。米国は35%で、アジア太平洋地域(中国を除く)は29%、中国は21%だった。

アンケート結果からは、ドイツ企業が2023年の見通しでも中期的な重要性でも、米国を評価している傾向が読み取れる。在米国ドイツ商工会議所(AHK USA)が20232月に公表した在米国ドイツ企業に対するアンケート調査結果でも、ドイツ企業は米国での投資に積極的な姿勢を示している(2023年3月1日記事参照)。DIHKは、回答企業の29%が中国を除くアジア太平洋地域を重視していることについて、「中国以外にも事業の橋頭保を築こうとする動き」としている。

DIHKはアンケートで、現在の地政学的課題に対し、実施済み、または、今後実施予定の対策についても聞いた(複数回答可)。「新市場の開拓」が51%と最も多く、具体的には「輸出」を通じた開拓が84%、「輸入」が30%、「生産」が20%だった。「生産」と回答した企業は自動車・部品企業が多かった。続いて、「在庫の積み増し」が38%だった。DIHKによると、この対策を取る企業は特に機械関連が多かったという。他方、「ドイツから国外への生産拠点の移転」は10%、「ドイツへの生産拠点の回帰」は5%にとどまった。

アンケートでは、20231月に施行のサプライチェーン・デューディリジェンス法(2021年6月30日記事参照、注)の影響についても聞いた。現時点ではデューディリジェンス義務の対象ではない従業員3,000人未満の企業(以下、未対象企業)でも、回答企業の7%が同法を理由に、人権や環境に関するリスクを最小化するため、市場から撤退しなければならなくなると回答した。また、未対象企業であっても約3分の1が、サプライヤーを失う点を懸念していると回答した。

(注)ジェトロは20225月に同法の参考和訳を公表している。

(高塚一)

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