全人代で副首相など各部門の幹部人事が決定

(中国)

北京発

2023年03月15日

中国の第14期全国人民代表大会(全人代)第1回会議が3月13日に閉会した。同会では習近平氏が国家主席に3期連続で選出され(2023年3月13日記事参照)、李強氏が新たに首相に就任したほか(2023年3月14日記事参照)、各部門の幹部人事が行われた。

3月11日には、最高人民検察院検察長に応勇氏(最高人民検察院副検察長、かっこ内は直近の役職)、国家監察委員会主任に劉金国氏(国家監察委員会副主任)、最高人民法院院長に張軍氏(最高人民検察院検察長)が選出された。また、国の中央軍事委員会副主席に張又侠、何衛東の両氏が選出された(注1)。

3月12日には、丁薛祥、何立峰、張国清、劉国中の各氏が副首相に選出された。

丁薛祥氏は、2022年10月の中国共産党第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)(2022年10月25日記事参照)で、最高指導部である中央政治局常務委員に序列6位で選出されている。

何立峰氏は、直近では国家発展改革委員会主任を務めており、主に経済関係の業務を担うとみられている。

張国清氏は、兵器関連の企業で長く勤務し、重慶市長、天津市長、遼寧省書記などを務めた。劉国中氏は、黒竜江省で副省長、吉林省で省長、陝西省で省長や書記などを務めた。

国務院関係では、李尚福、王小洪、呉政隆、諶貽琴、秦剛の各氏が国務委員(注2)に選出された。同日に、李尚福氏は国防部長、呉政隆は国務院秘書長にも選出されている。王小洪氏は2022年6月に公安部長、秦剛氏は2022年12月に外交部長に任命されている。2019年の北京青年報の報道によれば、李尚福氏は2018年に中央軍事委員会装備発展部長として米国の制裁対象となったものの、その後、異例の速さで上将(注3)就任を果たしたとされている。

その他の政府組織については、中国人民銀行(中央銀行)総裁に易綱氏が再任された。国家発展改革委員会主任には鄭柵潔氏が就任した。鄭柵潔氏は福建省での勤務が長く、国家エネルギー局副局長、浙江省書記、安徽省書記などを務めた。

なお、3月10~12日に開催された全国人民政治協商会議第14期第1回会議では、王滬寧氏が全国委員会主席に選出されたほか、石泰峰氏、胡春華氏らが副主席に選出されている。胡春華氏は、2012年の第18期1中全会で当時最年少の中央政治局委員に就任したが、2022年の第20期1中全会では選出されず事実上の降格となっていた。

(注1)国の組織として中華人民共和国中央軍事委員会、党の組織として中国共産党中央軍事委員会がある。

(注2)国務委員は、首相、副首相、秘書長とともに国務院常務会議を構成する。総理(首相)の委託を受けて、特定分野の業務や特別プロジェクトを担い、国務院を代表して外国と関係する活動を行うことができるとされている。

(注3)人民解放軍の階級のうち最高位。この時は李尚福氏を含む6人が通例よりも早く上将に昇進したと報じられている。

(河野円洋)

(中国)

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