日米韓が初の経済安保対話を開催、重要・新興技術での協力を議論

(米国、日本、韓国)

ニューヨーク発

2023年03月01日

日本、米国、韓国の3カ国は2月28日、初となる経済安全保障対話を米国ハワイ州ホノルルで開催した。日本から高村泰夫内閣審議官(国家安全保障局)、米国から国家安全保障会議(NSC)のタルン・チャブラ、ノーラ・トッドの両上級部長、韓国から王允鍾(ワン・ユンジョン)大統領府秘書官が参加した。

この経済安保対話の設置については、2022年11月に3カ国の首脳がプノンペンで会談を行った際に合意した(2022年11月14日記事参照)。米ホワイトハウスが公表した会談要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、3カ国は量子や宇宙技術を含む重要・新興技術、半導体やバッテリー、重要鉱物を含むサプライチェーンの強靭(きょうじん)性の向上、機微技術を守る措置に関する連携、「信頼性のある自由なデータ流通(Data Free Flow with Trust:DFFT)」での協力のあり方について議論を行ったとしている。

経済安保に関するテーマの中で、昨今最も注目を浴びている動きとしては、バイデン米政権が2022年10月に米国単独で導入した、中国向け先端半導体と製造技術の輸出管理強化が挙げられる。これについては、米国内の産業界から、機微技術の輸出管理は多国間で実施しなければ意味がないとの意見が出ており、半導体分野で競争力を有する日本や韓国との連携強化を求める声もある(2023年2月2日記事参照)。また、3カ国は米国が主導するインド太平洋経済枠組み(IPEF、注)にも参加しており、そこでは重要技術を含むサプライチェーンも交渉分野となっている。こうした場も踏まえた上で、今後、議論が深化していくことが期待される。

(注)IPEFの最新動向については、ジェトロのビジネス短信特集「インド太平洋経済枠組み(IPEF)の動向」を参照。

(磯部真一)

(米国、日本、韓国)

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