2022年のGDP成長率は5.2%、2023年は成長鈍化を予想

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年03月30日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は3月22日、2022年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率が前年同期比1.9%、前期比(季節調整済み)マイナス1.5%と発表した(添付資料図参照)。前年同期比では8四半期連続のプラス成長となったものの、2021年第2四半期(4~6月)をピークに、おおむね成長鈍化基調が継続しており、前期比では2021年第2四半期以来の初めてマイナス成長となった。2022年通年では前年比5.2%プラスとなった。

需要項目別にみると、第4四半期は、民間消費支出と財・サービスの輸出がそれぞれ前年同期比5.1%と8.6%伸びた一方で、政府消費支出が2.1%減と落ち込んだ。通年では全ての項目がプラスとなり、特に総固定資本形成が10.9%増と伸びたが、財とサービスの輸入も同17.4%と大きく伸び、経済成長全体を下押しした。

産業分野別にみると、第4四半期は、干ばつの影響を受けた農業・牧畜・狩猟・林業が前年同期比10.3%減、漁業は9.9%減と大きく落ち込んだ。通年では、農業・牧畜・狩猟・林業のみが前年比4.1%減と落ち込み、残りの分野は全てプラス成長だった。特にホテル・レストラン(35.0%)、鉱業・採石(13.5%)の成長が目立った(添付資料表参照)。

民間エコノミストらの分析では、2022年後半に見られた経済の減速は予測どおりで、主な要因として、インフレ加速(2023年3月20日記事参照)による民間消費の減少、輸入規制による原材料不足が国内市場の拡大に歯止めをかけていること、政府がIMFとの合意に基づく(2022年12月28日記事参照)目標達成のために財政支出抑制や金融引き締めを実施していることを挙げている。民間エコノミストらは2023年の経済見通しについて、深刻な干ばつの被害による穀物輸出の激減とそれによる外貨収入の減少(2023年3月24日記事参照)と外貨不足による輸入規制の強化が生産活動を下押しするとみている(現地紙「ラ・ナシオン」電子版3月22日)。

2023年10月に大統領選挙が実施されるが、政治動向はアルゼンチン経済の行方を左右するため、選挙の行方も注視していくべきだろう。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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