深刻な干ばつで大豆とトウモロコシが減産見通し、外貨収入激減を懸念

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年03月24日

ブエノスアイレス穀物取引所(BCBA)は316日、アルゼンチンの主要農作物である大豆、トウモロコシ、小麦、大麦、グレーンソルガム、ヒマワリの2022/2023年度(注)の総生産量が、前年度比34.4%減の8,400万トンとなるとの見通しを発表した。生産量の大幅な減少の原因は、主に降雨不足による歴史的干ばつの影響だ。2021/2022年度の総生産量は、13,000万トンだった。

BCBAによると、大豆の生産量は2021/2022年度に4,330万トンを記録したが、2022/2023年度は42.3%減少し、わずか2,500万トンとなる。これは、2000/2001年度以来の低い水準だ。トウモロコシは30.8%減の3,600万トン、グレーンソルガムは14.3%減の300万トンとなる見通し。ヒマワリは14.7%増の390万トンと、増加する見通しだ。小麦の2022/2023年度収穫量は44.6%減の1,240万トンにとどまった。

生産量の減少を受けて、これら主要農作物の2023年の輸出額(FOB)は2022年の4336,300万ドルから48%減少する見通し。2023年は前年比で2081,100万ドルの外貨収入が失われるとBCBAが警鐘を鳴らしている。

ロサリオ穀物取引所(BCR)も39日に最新の見通しを発表し、大豆とトウモロコシの生産量の見通しを大幅に引き下げている。111日に発表していた2022/2023年度の生産量見通しでは(2023年2月2日記事参照)、大豆とトウモロコシはそれぞれ3,700万トンと4,500万トンだったが、今回の見通しでは、大豆は2,700万トン(前年度比36.0%減)、トウモロコシは3,500万トン(31.4%減)(添付資料図参照)。

アルゼンチン国家干ばつ監視委員会によると、畜産や林業地域を含めて全国の約17,400万ヘクタールが水不足の状況にあるが、ラニーニャ現象は収束しており、南半球の冬の開始(20236月)まではニュートラル状態(エルニーニョ現象とラニーニャ現象が発生しない状態)が続く見込み(現地紙「ペルフィル」2023316日)。

写真 3月としては統計開始以来の歴史的猛暑に見舞われるも、耐えるトウモロコシ畑(ジェトロ撮影)

3月としては統計開始以来の歴史的猛暑に見舞われるも、耐えるトウモロコシ畑(ジェトロ撮影)

(注)年度は農作物ごとに期間が異なり、作物収穫開始から12カ月間を指す。例えば、大豆は4月~翌年3月、トウモロコシは3月~翌年2月などとなっている。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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