IMF理事会、拡大信用供与措置(EFF)第3回レビュー結果を承認

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年12月28日

IMF理事会は1222日、アルゼンチンに対する拡大信用供与措置(EFF)による支援に関する第3回のレビュー結果を承認した。これにより、同国はIMFによる45SDR(約60億ドル)の融資金の払い込み(ディスバース)を受けることができる。

IMF理事会は20229月末までの全ての定量的なプログラム目標が達成されたと評価した。ただ、アルゼンチン政府が目標達成のために財政支出抑制や金融引き締めだけでなく、資本取引規制の強化や、大豆輸出に優遇為替レートを適用する「大豆ドル」など、複数の為替制度に頼ったことから、これらを可能な限り早期に撤廃するよう政府に求めた。定量的なプログラム目標とは、IMFがアルゼンチン政府と合意した経済再建のための経済政策プログラムの中で示されたもので、基礎的財政収支、中央銀行による財政ファイナンス、外貨準備高の純増などの指標を指す。

また、マクロ経済の状況は依然として脆弱(ぜいじゃく)だとして、IMFとアルゼンチン政府の合意に基づき、補助金を減らしてメリハリのある財政支出を行うことで財政再建を図ることや、ペソ資産への需要を強化するために実質金利をプラスに誘導することも求めた。

IMFは、アルゼンチン政府と合意した経済再建のための経済政策プログラムを取り巻くリスクを次のとおり分析している。まず、世界経済の減速や世界的な金融環境の引き締めが国際商品価格や国内債券市場への悪影響を与え、それがアルゼンチンに悪影響を与える可能性を指摘している。加えて、干ばつの深刻化が農産物の輸出減と外貨の流入減につながり、インフレを助長することを警戒している。また、経済情勢の悪化が国内の社会的不満の高まりを招き、IMFとの経済政策プログラムに対する政治的支持が弱まり、202310月の大統領選挙を前に政策実施の遅れにつながる可能性を懸念している。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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