2月の物価上昇率は年率102.5%に、約32年ぶりに3桁を記録

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年03月20日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は3月14日、2023年2月の消費者物価指数(CPI)上昇率が全国平均値で前月比6.6%と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。前年同月比(年率)では102.5%と、1月の98.8%より上昇した。3桁を超えるのは1991年10月以来(添付資料図参照)。

前月比の物価の伸び率を2月単月でみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは3.3%と、1月の7.9%に比較すると落ち着きをみせた。エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスも5.1%で、1月の7.1%から減速した。しかし、季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は7.3%と、前月の5.3%からさらに加速した。

前月比のCPI上昇率を費目別にみると、平均値の6.6%を大きく上回ったのは、食品・飲料(酒類を除く)の9.8%、通信の7.8%、外食・ホテルの7.5%だった。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)の高騰は、主に牛肉の値上げが原因だ。INDECによると、ブエノスアイレス近郊で牛肉価格は前月比約35%と大幅に上昇した。

3月13日付現地紙「ラ・ナシオン」(電子版)によると、3月のCPI上昇率はさらに加速すると民間エコノミストなどは予測している。3月は季節的要因などによりアルゼンチンの歴史上、CPIが最も上昇するとみられる。3月は新学期が始まるほか、季節の変わり目のため、文房具や制服などの学用品、秋物衣料などが値上がりするとされている。また、3月には、電気・ガス・水道の公共料金、医療保険料、私立学校の学費、公共交通機関料金、燃料、電話やインターネットの料金などが値上がりする見込みだ。食品などの物価上昇の勢いも止まらない。干ばつの影響などにより、小麦粉やパン類、乳製品の価格が上がっているほか、国内初の鳥インフルエンザの発生(2023年2月24日記事参照)が原因で鶏肉や鶏卵の価格が高騰している。ジェトロが3月15日にブエノスアイレス市内で独自に行った価格調査でも、鶏肉1キロの価格が前月比51.6%増、鶏卵1ダースの価格が同19.4%増加した。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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