経済開発省傘下に投資貿易庁を設立

(モンゴル)

北京発

2023年03月06日

モンゴル政府は2月1日、国会決議2022年第69号に基づき、副首相兼経済開発相(注1)の管轄下に「投資貿易庁」を設置することを閣議決定した。同庁は5つの部署で構成し、職員数は30人となる。

同庁設置の背景には、輸出製品の多様化、とりわけ鉱業以外の経済セクターの支援、投資誘致の発展、安定した投資環境の維持という目的がある。政府が実施している「新復興政策」(2022年9月5日記事2022年11月10日記事参照)の行動計画(94件の開発プロジェクト)では、官民連携を通じた国内外の投資が必須となるものの、モンゴルに対する外国直接投資の72%が資源・石油の探査・採掘などの鉱山分野に集中している。貿易面でも、輸出の84%を中国に依存し、輸入では中国(35%)とロシア(30%)にそれぞれ依存している。政府はこうした現状を踏まえて、輸出製品の多様化、特に非鉱業製品の輸出と輸入代替品生産を支援し、貿易相手国を多様化〔「第三の隣国」(注2)の市場へのアクセス〕する政策を実施する必要性を指摘している。

政府は同庁設置の目的と期待される効果として、下記の点を挙げている。

  • モンゴルの投資環境の宣伝
  • 非鉱業製品・輸入代替品など優先すべき経済セクターへの投資誘致
  • 投資家の権利と正当な利益の保護・投資家支援
  • 貿易流通の改善
  • 通関手続きの簡素化とオンラインサービスの提供
  • 輸入代替産業の保護と輸出促進
  • 経済多様化
  • 投資・貿易に関する統合データベースの構築・分析

(注1)ロブサンナムスライ・オヨーンエルデネ首相は、2023年1月5日に内閣改造を行い、チメド・フレルバータル経済開発相を副首相兼任とした。また、保健相にソドノム・チンゾリグ議員、国境税関復興特命相にフレルバータル・ボルガントヤー議員、建設都市計画相にツェレンピル・ダワースレン議員をそれぞれ任命した。これにより、閣僚数は1人増えて首相を含め22人になった。その後、トゥムルバータル・アヨールサイハン労働・社会保障相が石炭汚職に関する容疑で捜査当局の取り調べを受けたため、2月6日に本人が首相に大臣辞職願、国会議長に議員辞職願を提出(2月27日現在、進退保留)。春期国会は2023年3月15日に開会予定。

(注2)モンゴルはロシアと中国に国境を囲まれており、物理的には接していないが、外交政策上、日本や欧米などの国を「第三の隣国」と位置づけ、ロシア、中国と同様に重視している。

(藤井一範)

(モンゴル)

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