米エクソン、テクニップと世界最大級の低炭素な水素製造施設の前工程設計契約を締結

(米国、フランス)

ヒューストン発

2023年02月01日

米国石油大手エクソンモービル(本社:テキサス州アービング)は1月30日、世界最大規模の低炭素な水素製造施設の開発に向け、フランスのエンジニアリング大手テクニップ・エナジー(本社:パリ)と前工程設計(FEED)契約を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本プロジェクトは、2024年までに最終投資決定(FID)を行う予定だ。

発表によると、この複合施設はテキサス州ベイタウンで開発され、低炭素な水素・アンモニアを製造し、二酸化炭素(CO2)を回収する。2027~2028年の稼働時点で、低炭素での水素製造プロジェクトとして世界最大規模となる日量10億立方フィート(約2,800万立方メートル)を生産する見込みだ。

また、同施設で発生するCO2の98%以上に相当する約700万トンが1年間で回収され、恒久的に貯留される見込みだ。本プロジェクトで開発されるCO2回収・貯留(CCS)ネットワークは、同地域のCO2排出事業者の脱炭素化を支援するために利用される予定という。

エクソンモービルの低炭素ソリューションズ部門のプレジデント、ダン・アマン氏は「本プロジェクトにより、当社は、第三者の顧客の脱炭素化を支援するために、低炭素な水素とアンモニアを大量に提供することが可能になる」「燃料を天然ガスから低炭素な水素に切り替えることで、当社のベイタウン複合施設からのスコープ1(注1)およびスコープ2(注2)の排出量を最大30%削減できる見込みだ」と述べた。

エクソンモービルは米国で脱炭素化の取り組みを進めており、2022年7月に、米国ネクストディケードと年間100万トンのLNG(液化天然ガス)売買契約を締結(2022年8月2日記事参照)、10月には、米国のエンリンクおよびCFインダストリーズとルイジアナ州のCCSプロジェクトで提携(2022年10月13日記事参照)した。さらに11月には、三菱重工エンジニアリングとCO2回収技術で提携(2022年12月1日記事参照)したほか、2023年1月には、三菱商事および日本製鉄とのCCS事業での提携(2023年1月26日記事参照)を発表した。

(注1)京都議定書で定めたCO2、メタン(CH4)など6つの温室効果ガスの直接排出量。

(注2)エネルギー起源間接排出量。

(沖本憲司)

(米国、フランス)

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