三菱重工エンジニアリング、CO2回収技術で米エクソンモービルと提携

(米国、日本)

ヒューストン発

2022年12月01日

三菱重工グループの三菱重工エンジニアリング(MHIENG)は11月30日、米国石油大手エクソンモービル(本社:テキサス州アービング)と、産業分野向けにエクソンモービルが手掛ける二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)プロジェクトにMHIENGの先進的なCO2回収技術を適用し、協力を進めることで合意したと発表した。

発表によると、両社は、本協業を通じて長年にわたり蓄積してきた専門知識を結集し、エネルギー分野の脱炭素化を促進するソリューションを供給する。それにより、産業分野のあらゆる顧客に対し、回収から貯留まで一貫したCCSプロジェクトを効率的に進めることが可能となるという。本協業の狙いは、両社が有するエンジニアリングおよび運転の実績とコア技術を融合し、CO2回収に必要なコストを削減し、その適用範囲を広げることだ。商用において年間100万トン以上の実績を有する数少ないCO2回収技術になるという。

MHIENGの寺沢賢二代表取締役社長は「カーボンニュートラルの実現に向けたソリューションとして、さまざまな分野の顧客に対し当社のCO2回収技術を提供し進化させ続けるべく、今回のエクソンモービルとの協業を楽しみにしている」と述べた。

三菱重工グループは、脱炭素化の取り組みを積極的に進めている。三菱パワー・アメリカと米国のマグナム・デベロップメントは6月、ユタ州のグリーン水素(注)製造・貯蔵施設の開発事業について、米国エネルギー省から5億440万ドルの融資の債務保証を受けたと発表した(2022年6月20日記事参照)。また、三菱重工業は同月、産業規模での安価なグリーン水素の製造を目指す米国のエレクトリック・ハイドロジェンに、米国ブレークスルー・エナジー・ベンチャーズなどとともに出資し(2022年6月24日記事参照)、7月には米国ボーイングと持続可能な航空産業の実現に向けて覚書を締結している(2022年7月21日記事参照)。

(注)再生可能エネルギーを利用して、水を電気分解することで製造される水素。製造工程でCO2を発生させないため環境に優しいエネルギーとされる。

(沖本憲司)

(米国、日本)

ビジネス短信 88c69b39656211c8