スタートアップ活況、ジェトロ・アフリカ所長ウェビナー開催

(アフリカ、ケニア、ガーナ、ナイジェリア、エチオピア)

中東アフリカ課

2023年02月09日

ジェトロは12627日、ウェビナー「現地所長が語る-2023年のアフリカビジネス展望-」を開催した。ナイロビ、アクラ、ラゴス、アディスアベバ事務所から4人が登壇し、各国の最新動向と今後の展望について講演・議論した。なお、その他の国(南アフリカ共和国:ヨハネスブルク、エジプト:カイロ、モロッコ:ラバト、コートジボワール:アビジャン)については2023年2月8日記事参照

1部では、各地の最新情勢について講演。ナイロビの中川翼所員はケニアについて、20228月の大統領選挙(2022年9月12日記事参照)や経済状況の悪化に触れた。アクラの関根広亮所長は、ガーナが事実上のデフォルトに陥った(2022年12月21日記事参照)ことなどを中心に説明。ラゴスの谷波拓真所長は、ナイジェリアの通貨安(2022年10月31日記事参照)など厳しい経済状況のほか、20232月に行われる大統領選挙(2023年1月5日付地域・分析レポート参照)に触れた。アディスアベバの中山泰弘所長は、エチオピア北部における紛争の停戦(2022年11月8日記事参照)や外貨不足について説明した。

2部はパネルディスカッション。(1)新型コロナウイルスとウクライナ情勢の影響、(2)ビジネス環境の現状と課題、(3)ビジネスの新たな芽、をテーマに議論した。

どの国も、新型コロナウイルスの感染はピークアウトしているものの、ウクライナ情勢の影響が大きく、インフレ率が急上昇しているという。また、ラゴスの谷波所長は、ナイジェリアは産油国であるにもかかわらず、原油の盗難によって原油価格上昇の恩恵を受けられていない点を指摘した。

ビジネス環境について、ラゴスの谷波所長は、ナイジェリアはインフラの面で問題を抱えるほか、大統領選の結果次第で今後の経済政策が変わってくることに注意が必要としながらも、人口2億人を超える巨大市場である点はやはり魅力になるとした。ナイロビの中川所員は、欧米や中印企業との競争は厳しいとしつつも、ケニアは日系企業にとって東アフリカ地域のハブになり得るとした。アクラの関根所長は、ガーナは民主主義国として政治的に安定しているとした。アディスアベバの中山所長はエチオピアについて、引き続き治安状況を注視する必要があるが、東アフリカで最大級の人口を誇るほか、人件費の安さなどが魅力だとした。

最後に、有望分野について議論し、ラゴスの谷波所長とナイロビの中川所員は、それぞれの市場においてスタートアップが活況だと説明。そのほか、ナイジェリアについては、その市場規模から消費市場に挑戦し続ける必要があるという。また、ケニアについては、政府が工業化政策を打ち出しており、中でも農業の機械化・高度化は大きな機会になるという。スタートアップについては、エチオピアにも機会があり、アディスアベバの中山所長は、国全体の所得が低い中、低所得者向けビジネスにおけるデジタルの活用が課題になると述べた。

なお、本ウェビナーは331日までオンデマンド配信している。ジェトロ・メンバーズ1口につき、先着1人目まで無料。

写真 パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

(梶原大夢)

(アフリカ、ケニア、ガーナ、ナイジェリア、エチオピア)

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