暗号資産マイニング事業への規制を4月から厳格化
(カザフスタン)
タシケント発
2023年02月17日
カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は2月6日、暗号資産の運用とマイニング(注1)を定めた法案「国内の暗号資産について」に署名した(大統領府ウェブサイト2月6日)。同法律は4月1日から施行される。
国内の暗号資産マイニングは、主に中国からの業者流入によって2021年5月から急成長した。一方で、マイニングによる大量の電力消費により国内の電力不足を招いたため、政府はマイニング税の導入(2021年5月31日記事参照)や、使用電力の制限、無許可マイニング業者への規制を強化した(2021年11月17日記事参照)。トカエフ大統領は無許可業者の取り締まりや、適正な税務申告と納税の義務化、マイニング税の引き上げなどを指示していた(2022年2月10日記事参照)。
今回承認された法律によると、マイニング採掘活動はカザフスタン国内の個人事業主と法人のみに許可されるほか、マイニング業者がマイニング以外の活動に従事することが禁止される。マイニングで得られた暗号資産は、75%以上をアスタナ国際金融センターから認可を受けた暗号資産取引所で運用する必要がある。
マイニング業者が使用できる電力についても規制する。電力需給に余裕がある場合のみ公共電力を使用できるが、それ以外は再生可能エネルギーあるいは輸入電力、もしくは自家発電に限定する(カピタル.kz 2月6日)。なお、電力使用量1キロワット時当たりに加算するマイニング税の税率が1月1日から改正された。財務省歳入委員会のウェブサイトで詳細内容を掲載している。
カザフスタン・ブロックチェーン技術協会によると、2022年は無許可業者の摘発や、電力不足などによるマイニング業者の撤退などにより、世界の暗号資産採掘市場でのカザフスタンのシェアを示すハッシュレート(注2)が18.3%から6%に低下している(ランキング.kz 2月8日)。
(注1)暗号資産の取引承認に必要となる複雑なコンピュータ演算作業に協力し、その報酬として新規に発行された暗号資産を得ること。
(注2)マイニングする際の1秒当たり採掘速度を示す数値。
(増島繁延)
(カザフスタン)
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