カザフスタン、2022年から仮想通貨の「マイニング税」を導入

(カザフスタン)

タシケント発

2021年05月31日

カザフスタンで、仮想通貨のマイニング事業が課税対象となる。下院(マジリス)は5月19日、仮想通貨の取引承認に必要となる複雑なコンピュータ演算作業に協力し、その報酬として新規に発行された仮想通貨を得る、いわゆるマイニング(採掘)への課税を含めた税制改正案を承認した(ウチョットKZ 5月19日)。

カザフスタンでは、仮想通貨のマイニングが急成長しており、ビットコインの全世界シェア6%(4位)を占めている(注)。デジタル発展・イノベーション・航空宇宙産業省によると、2021年3月現在、マイニングファームと呼ばれる17の専用施設が稼働中で、月1,800万~2,800万ドル相当の仮想通貨を生み出している(プロフィットKZ 3月1日)。

仮想通貨マイニング急成長の要因は、同国の安価で安定した電力供給だ。仮想通貨マイニングに使用するサーバーは大量の電力を消費するが、カザフスタンのビジネス用電気料金は1キロワット当たり22.367テンゲ(約6円、1テンゲ=約0.25円)と安価なため、世界各国からマイニング業者が参入している。投資額は、2020年1年間で600億テンゲに達した。今回の税制改正では、仮想通貨マイニング業者には通常の電力料金に加え、使用電力1キロワット当たり1テンゲを上乗せし、四半期ごとに支払いを求める。新税制は2022年1月1日から発効する予定で、新たな税収として期待されている。

カザフスタンでは、仮想通貨の市場流通は認められていない。しかし、バグダット・ムシン・デジタル発展・イノベーション・航空宇宙産業相は、国内の仮想通貨取引機関を経由して取引が行われれば課税もできるとしており、現在、300キロワットクラスの国営マイニングデータセンターを、地方中核都市のアクトべ、パブロダール、エキバストゥズ、ペトロパブロフスク、トルキスタン、タルディコルガンに建設中だ。

(注)ケンブリッジ大学オルタナティブ・ファイナンス・センター(CCAF)のビットコインマイニングマップ(2020年5月)によると、全世界のビットコイン採掘シェアは1位中国(65.8%)、2位米国(7.2%)、3位ロシア(6.9%)、4位カザフスタン(6.2%)となっている。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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