トカエフ大統領、暗号資産マイニングの規制強化を指示

(カザフスタン、ロシア)

タシケント発

2022年02月10日

カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は2月8日、オンライン形式で行われた政府拡大会議において、暗号資産マイニング(採掘)の規制強化を指示した(カズインフォルム2月8日)。

カザフスタンにおける暗号資産マイニングは中国からの業者流入により、世界シェア2位にまで急速に発展した。一方、無認可業者が後を絶たず、電力不足を招いている(2021年11月17日記事参照)。トカエフ大統領は「暗号資産マイニングによるカザフスタン経済社会への恩恵はわずかにもかかわらず、電力を大量に消費している」とし、政府に対して国内のマイニング業者の実態把握と無認可業者の取り締まり、適正な税務申告と徴税などの管理強化に加え、2022年1月1日から施行された1キロワット時当たり1テンゲ(約0.27円)のマイニング税(2021年5月31日記事参照)を引き上げるよう指示した(テングリニュース2月8日)。

暗号資産マイニングによる電力消費量急増と無認可業者による弊害は、隣国ロシアでも発生している。ロシア極東のイルクーツク州では2020年に70億キロワットだった電力消費量が2021年には80億キロワット近くまで急増した。2021年に1,213の無認可業者が確認され、州の電力会社が137件の訴訟を起こしている。マイニング業者は業務用電力料金を支払うべきところ、無認可業者は業務用の4分の1の価格の一般用電力料金を支払っていたという(タス1月24日)。

なお、1月25日にカザフスタン、ウズベキスタン、キルギスで発生した大規模停電(2022年1月27日記事参照)について、原因は暗号資産マイニングとする臆測が一時流れたが、カザフスタン電力網運営会社(KEGOC)は、原因は3カ国の電力システム内での急激な電力需給の不均衡によるもので、公認マイニング業者への電力供給と直接的な関係はないとの見解を示している(KEGOC公式ウェブサイト1月27日)。

(増島繁延)

(カザフスタン、ロシア)

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