欧州のヒートポンプ業界団体、2022年の販売数38%の記録的伸びと発表

(EU)

ブリュッセル発

2023年02月21日

欧州ヒートポンプ協会(EHPA)は2月20日、2022年の欧州におけるヒートポンプ設備の販売数を約300万ユニットとした推計(注)を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。前年比約38%の伸びとなり、コンプレッサーや半導体など部品供給に制約のある厳しい条件下にもかかわらず、2021年の伸び34%を上回る記録的な販売数となったとした。EHPAによると、欧州のヒートポンプ総数は約2,000万ユニットとなり、欧州の居住用や商業用の建物の約16%に暖房を供給しているという。

ポーランドなど東欧でも導入加速

2022年の国別の伸び率では、データが得られる16カ国中、ポーランドが2倍で最も高く、次いでチェコが99%増と、東欧勢の躍進が目立った。ポーランドではダイキンが2022年7月に同社として欧州最大のヒートポンプ生産拠点を設立することを決定している(2022年7月19日記事参照)。2022年の販売数を世帯数1,000件当たりに換算すると、フィンランド(69.4ユニット)、ノルウェー(62.2)、スウェーデン(39.3)、デンマーク(29.8)と北欧勢が突出し、イタリア(19.5)、フランス(14.9)が続く。2022年の販売総数ではイタリアが50万2,349ユニットで最も多く、続いてフランス(46万2,672)、ドイツ(24万6,000)、スウェーデン(21万5,373)、ポーランド(19万5,480)の順だった。ドイツは世帯数1,000件当たりでは5.8ユニットと相対的に低かった。

EUでは、ロシア産化石燃料からの脱却計画「リパワーEU」の一環として、ヒートポンプ普及を進めるほか(2022年11月17日記事参照)、建物のエネルギー性能指令の改正案(2021年12月17日記事参照)でもヒートポンプ導入を推奨している。EHPAによると、2022年に販売されたヒートポンプ設備によって約40億立方メートルの天然ガス消費を抑制できるという。

(注)オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロベニア、スペイン、スイス、英国の計16カ国の2022年の販売数に、エストニア、ハンガリー、アイルランド、リトアニア、スロバキアの2021年の販売実績を加えた値。約9割がヒートポンプ式暖房機、残り1割が同給湯器。

(安田啓)

(EU)

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