ダイキン、ポーランドに欧州最大のヒートポンプ新工場を設立へ

(ポーランド、日本、ウクライナ、ロシア)

ワルシャワ発

2022年07月19日

ダイキンは78日、ポーランド中央部に位置するウッチ県のクサベルフ工業団地に3億ユーロを投資し、ヒートポンプ式暖房機の新工場を設立することを決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。欧州では、ベルギー、チェコ、ドイツに次ぐ新たな生産拠点の開設となり、同社としては欧州最大のヒートポンプ生産拠点、欧州初のゼロ・エミッションの工場になる。20247月に稼働の予定で、2025年には生産能力は現在の約4倍に拡大される。

今回の新工場設立の背景にあるのが、欧州で急増するヒートポンプ式暖房機の需要だ。ダイキンによると、過去10年間で、欧州におけるヒートポンプ式暖房機市場は年平均10%以上の成長が続いており、2021年の年間販売台数は100万台に到達。2050年までにEU域内の気候中立(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を目指す欧州グリーン・ディール政策も後押し、今後もヒートポンプの普及は進むことが予測される(2022年3月11日記事2022年4月7日記事参照)。同社は、欧州は2025年までに少なくとも年間300万台のヒートポンプ式暖房機が販売される市場になると見込まれていると説明する。

同社の戦略経営計画「FUSION25」では、欧州をヒートポンプ暖房事業拡大の最重要地域に位置付けている。今回の投資により、同社は加速する欧州の需要に対応し、欧州主要国でのシェア ナンバーワンを目指すとしている。2025年までに、ポーランドでは新たに1,000人を雇用する予定。クサベルフ工業団地への工場設立の決め手としては、ポーランドの中央に位置し、ドイツをはじめ欧州市場全域へのアクセスも良く、部品調達や熟練技術者などの雇用が行いやすい地域であることに言及している。

202277日に工場建設予定地で行われた調印式には、マテウシュ・モラビエツキ首相やバルデマール・ブダ開発・技術相が出席。ブダ開発・技術相は「ポーランドが投資に適した国であることはさまざまなランキングで上位にランクインしていることからも証明されているが、重要なのはポーランドに対する認識や投資への決断はロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けていないことだ」と述べ、隣国ウクライナがロシアによって侵攻された後も、ポーランドが依然として魅力的な投資先であることを強調した。

(今西遼香)

(ポーランド、日本、ウクライナ、ロシア)

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