米エネルギー省、EVバッテリーリサイクルのレッドウッドに20億ドル融資

(米国)

ニューヨーク発

2023年02月13日

米国エネルギー省の融資プログラム局(LPO、注1)29日、電気自動車(EV)用バッテリー材のリサイクル企業である、レッドウッド・マテリアルズ(本社:ネバダ州カーソンシティ)に対し、ネバダ州における同社生産施設の建設と拡張のため、20億ドルの条件付き融資(注2)を行うと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回の融資により、完全なクローズドループ(注3)でのリチウムイオンバッテリーの製造過程において、負極用銅箔(どうはく)と正極活物質を再生産する米国内初の施設が誕生する。新施設では新たに約5,000人の雇用が創出される見込みだ。また、年間100万台分以上のEV用バッテリー材の生産が可能となることで、ガソリンの消費量が39,500万ガロン(約150万立方メートル)以上、二酸化炭素(CO2)の排出量が350万トン以上削減されると推定される。

20228月に成立したインフレ削減法の下では、クリーンビークル(注4)の購入者に対して最大7,500ドルの税額控除が認められるが、控除を受けるに当たり、車両に搭載されているバッテリー材をリサイクルして利用する場合には、北米で行われていることが要件の一部に含まれている。海外製品への依存を避け、運搬などにかかるコストの削減のため、米国内でのリサイクル事業の拡大はEV普及における重要な課題となっている。

レッドウッド・マテリアルズは、EV大手テスラの共同創業者兼最高技術責任者(CTO)だったJB・ストローベル氏が2017年に創業し、最高経営責任者(CEO)を務めている。20228月にはネバダ州での施設の拡大を(2022年8月2日記事参照)、さらに12月にはサウスカロライナ州に国内2カ所目の工場設立を発表するなど(2022年12月16日記事参照)、積極的な事業拡大を進めている。今回の融資に際し、同社は「われわれのプロジェクトは、バッテリーおよび自動車メーカーがインフレ削減法によって制定されたEV税額控除の資格を得るために、重要鉱物およびバッテリーコンポーネントにおける新たな厳しい要件を満たすことを可能にする」「こうした政策は、レッドウッドの中核的なミッションである、バッテリーサプライチェーンの現地化を後押しするものだ」と述べた。


(注1)LPOは、大規模なエネルギーインフラプロジェクトに対する融資を管轄する機関。国内におけるバッテリーのサプライチェーンの構築に対する融資にも力を入れている(2022年4月26日記事12月13日記事参照)。

(注2)LPOが最終的なローンを発行する前に、特定の条件を満たす必要がある。

(注3)不純物を取り除くことで素材として再利用でき、無限に循環利用されるリサイクル。

(注4)バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の総称。

(大原典子)

(米国)

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