米テスラ、カリフォルニア州にも本社機能を持つ新拠点設置へ、テキサス移転から2年

(米国)

サンフランシスコ発

2023年02月27日

米国電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は2月22日、カリフォルニア州パロアルトのヒューレット・パッカード本社跡地に、同社のグローバル・エンジニアリング本部を設置すると発表した。マスクCEOは発表の中で、「(この場所が)シリコンバレーを作ったヒューレット・パッカードから当社に引き継がれるのは、詩的な移行だと思う」と語った。また、この発表に同席したカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は「カリフォルニア州は世界のイノベーションの中心であり続ける」と述べた。

サンフランシスコ・ベイエリアでは、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年末ごろから、他州に拠点を移転する大手テック企業が相次いでいた(2020年12月21日記事参照)。テスラも2021年に、パロアルトからテキサス州オースティンに本社を移転しており、マスクCEOは当時、サンフランシスコ・ベイエリアで規模を拡大するには限界があると述べていた。他方、同社はテキサスに本社を移転した後も、カリフォルニア州のフリーモント工場を拡大し続けており、マスクCEOは2023年2月22日の発表の中で、同工場は年間60万台以上の自動車を製造する北米で最も生産性の高い工場だ、と述べている(「サンフランシスコ・クロニクル」紙電子版2月22日)。

自動車のゼロエミッション化において、全米を牽引するカリフォルニア州では、ゼロエミッション車両(ZEV)の累計販売台数が、2022年12月末時点で140万台近くに上り、全米の4割を占める。同州議会では2月9日、2035年までにガソリン車の新車販売を廃止するという州の目標(2022年9月1日記事参照)を後押しするように、公共EV充電施設を新設あるいは拡充する際に、車のタイプやモデルにかかわらず充電できるようユニバーサルコネクターの設置を義務付ける法案(AB591)が提出された。

なお、バイデン政権は2月15日、テスラが自社充電ネットワークの一部を一般に開放すると発表している(2023年2月16日記事参照)。

(田中三保子)

(米国)

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