世界の発効済みFTAは386件に、ジェトロデータベース更新

(世界)

国際経済課

2023年02月28日

世界の自由貿易協定(FTA)情報の最新一覧を取りまとめたジェトロの世界のFTAデータベース(注1)が、2月27日に更新された。同データベースは2023年1月末までの全世界の新規署名・発効・改定・交渉状況を反映している。

2022年には、地域的な包括的経済連携(RCEP)を含む10協定が新たに発効し、世界の発効済みFTAは、2023年1月末時で累計386件となった。他方、新たなFTAの発効件数は、2000年代後半から減少傾向にある。2021年は英国のEU離脱移行期間終了に伴い、EUとFTAを有する多くの国・経済圏が、英国との間で対EUと同水準のFTAを発効したため、件数自体は増加したものの、英国を締約国としない同年のFTAの新規発効件数は7件にとどまった(添付資料図参照)。

日本が加盟する、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)では、新たにマレーシアで発効(2022年11月)したものの、一時利用できない状況だったが、12月末に運用が開始され(2023年1月5日記事参照)、協定は発効日の11月29日にさかのぼって適用されている。新たな加入申請については、英国、中国、台湾、エクアドルに加え、2022年8月にコスタリカ、12月にウルグアイが加盟を申請した。

2022年1月に10カ国(日本、ブルネイ、カンボジア、ラオス、シンガポール、タイ、ベトナム、オーストラリア、中国、ニュージーランド)で発効したRCEP協定では、2022年2月に韓国、同年3月にマレーシア、2023年1月にインドネシアで発効した。残るフィリピンとミャンマーは現時点で発効には至っていない。

日本企業の活用も加速する。経済産業省が発表した第一種特定原産地証明書の発給状況外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注2)によると、2022年はRCEPに対する発給件数が8万9,956件と、日本・タイ経済連携協定(9万3,459件)に次いで2番目に多く、経済連携協定(EPA)全体の23%を占めた。

(注1)WTOに通報されていない協定や発効前のFTAも可能な限り掲載しており、日本語で検索できる本格的なデータベース。ジェトロが公開したデータベースには、日本が締約国に含まれる協定や、関心と活用頻度の高い一部FTAの運用上の課題、サービス分野の自由化傾向の内容を記載している。これまでにジェトロが作成したFTA活用マニュアルへのリンクも掲載。

(注2)第一種特定原産地証明書は、日本国内の事業者がEPAを利用した輸出取引を行うに当たり、日本商工会議所に申請して発給を受けるもので、「第三者証明制度」を採用するEPAで利用される。他方、輸出者や輸入者などが自ら原産地証明書を作成する「自己申告制度」のみを採用するEPA〔環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)や、日EU・EPAなど〕については、上記統計に含まれない。なお、RCEPでは第三者証明制度に加え、認定輸出者もしくは輸出者による自己申告制度(輸出者による自己申告制度は協定発効時には日本、オーストラリア、ニュージーランド間のみ適用可能)や、輸入者による自己申告制度(日本への輸入時のみ適用可能)も採用されている。

(伊尾木智子)

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