CPTPP、発効から1カ月遅れの12月末に運用開始

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年01月05日

マレーシアでは、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)が2022年11月29日に発効したが、運用できない状態が続いていた(2022年12月20日記事参照)。その後12月30日に、ダガンネット(Dagang Net、税関手続きの電子情報システム)は協定の適用を開始する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公開した。なぜ運用が一時ストップしていたか明確な原因は不明だが、上記通知に添付された税関文書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(12月23日付、マレー語のみ)では、首相の指示で運用が延期されたことが明記されている。

ジェトロが1月4日に税関に電話でヒアリングしたところ、CPTPP運用開始に関する官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は12月30日に発出された。同官報の存在に基づき、税関はダガンネットなどに対し、CPTPP運用にかかるシステムの起動を指示していた(12月29日付EメールPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、マレー語のみ)。協定は、発効日の11月29日にさかのぼって適用される。

ダガンネットの通知に先立つ12月22日、国際貿易産業省(MITI)は、協定による便益を享受できるよう、マレーシアの産業と輸出企業を支援する準備ができているとする声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。声明は、マレーシアからCPTPPの加盟国、とりわけ同国との間で自由貿易協定(FTA)が存在しなかったカナダ、メキシコ、ペルーへの市場アクセスが改善することをあらためて指摘した。優遇税率の適用に際しては、各品目に対応する原産地規則を満たす必要があるとしつつも、CPTPP域内で調達された原材料は全て域内原産と見なせることから、企業はより効率的で費用対効果の高い域内サプライチェーンを活用できるというメリットも強調した。

さらに12月24日には、チリがCPTPPを批准して2月に発効することを受け(2022年12月27日記事参照)、ザフルル・アジズ国際貿易産業相は、マレーシア企業にとっても大きなビジネスチャンスになるとの見方を示した。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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