丸紅、EV用リチウムイオン廃電池のリサイクル事業参画に向け米サーバに出資

(米国、日本)

ヒューストン発

2023年02月13日

丸紅は29日、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池(以下、「LiB」)の廃電池(以下、「廃LiB」)のリサイクル事業に参画するため、北米最大の廃電池リサイクル業者である米国サーバ・ソリューションズ(本社:インディアナ州インディアナポリス、以下サーバ)の株式を第三者割当増資引き受けにより5,000万ドルで取得したと発表した。

サーバは、EVなどに利用されるLiBをはじめ多種多様な廃電池のリサイクル事業を30年以上営んでおり、廃電池の回収から電池用希少金属再資源化まで、一貫した循環型サービスを提供している。

発表によると、EVの急速な普及に伴い、廃LiB発生量の急増が見込まれていることに加え、電池用希少金属の採掘に伴う環境負荷の問題から、廃LiBの適切なリサイクル処理と再利用が不可欠としている。また、脱炭素社会の実現に向け、自動車業界などのLiB生産における再生材料のニーズはますます増加していくという。

丸紅は、1985年から電池材料分野の原料トレーディングに携わっており、脱炭素社会に向けた新たな取り組みとして、サーバと共同して廃LiBからニッケルやコバルト、リチウムなどの希少金属を精製し、再生材料としてサプライチェーンに戻す循環型ビジネスを開発してきた。同社は、今回の出資を通じて、LiBに必要な希少金属の再生材料を安定供給することで、環境負荷低減による脱炭素社会の実現に貢献していく方針だ。

丸紅は、脱炭素化に向けた取り組みを進めており、20228月にデジタル技術の活用で船舶の二酸化炭素(CO2)削減を目指すコンソーシアム参画を発表した(2022年8月5日記事参照)。9月には、脱炭素社会の実現に資する非鉄金属資源の安定供給に向け、カナダのヴァルハラの株式取得で合意した(2022年9月28日記事参照)。10月には、脱炭素社会実現に資する電力インフラの課題解決に向け、米国ラインビジョンに出資し戦略的パートナーシップを締結したほか(2022年10月6日記事参照)、バイオ燃料によるエチレン船の試験航海実施を発表している(2022年10月14日記事参照)。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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